研究課題/領域番号 |
20K13173
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 東洋大学 (2021-2022) 東京大学 (2020) |
研究代表者 |
内田 力 東洋大学, 国際共生社会研究センター, 研究助手 (00865165)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 森林学 / 国際日本学 / 水産学 / 文化史 / 水問題 / 環境史 / 人新世 / 東京帝国大学(東京大学) / 資本主義 / 本多静六 / 学問史・大学史 / 投資 / グローバル・ヒストリー |
研究開始時の研究の概要 |
知識人の歴史や大学史を考えるうえで学問と資金の関係は無視できない。従来の研究では資金提供者の意図が学問を制約した点に目を向けがちだったが、本研究では受動的な立場でなかった知識人に着目する。投資で成功する知識人は自身の研究活動と投資活動をいかに関係づけて発想したのだろうか。 本研究では、林学研究者にして投資家でもあった東京帝大農学部教授・本多静六(1866~1952)に注目して、かれの投資活動の展開をあきらかにしつつ近代学問と投資の関係を考察する。なかでも留学経験、西洋的公園設計、植民地調査旅行、木材の価格変動などの主題に関しては、グローバルな連関に留意して日本に閉じないかたちでの分析を目指す。
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研究実績の概要 |
【概観】本年度は、当初の研究課題からスピンオフしたトピックが大きく進展した。コロナ後の対面での研究交流が徐々に再開したことで、現代の環境学と投資分野の関係について各方面の専門家・実務経験者と交流の機会を得た。これにより、各種のアウトプットの用意ができた。本科研にとっては研究テーマの方向性が大きく転換した一年であったといえる。歴史学(日本近代史)の文脈でも環境学(森林学・水産学)の文脈でも、本多静六という人物が投げかけた問いかけがもつ現代的な意義をあきらかにすることができた。 【個別の活動】1.年度末の2023年3月にニューヨークで開催された国連水会議2023への出席が可能となり、現代の水問題と森林に関する研究テーマについて、現在的な課題の把握と産官学にわたった連携を図ることができた。2.本科研の主要調査地のひとつに据えていた台湾について、今後の渡航制限の緩和を想定して、台湾の研究者(博物館勤務)と研究打ち合わせをおこない、資料調査の準備を進めた。3.環境文学の代表作であるアミタヴ・ゴーシュ『飢えた潮』について、翻訳プロジェクトに参画、訳者と協力して2023年4月の出版を実現した。刊行後に発表する解説文と講演の準備をおこなった。本書の分析をつうじて環境学と歴史学の関係性を考えるうえでの論点を抽出した。4.上記1とも関連するかたちで、本務校での業務の一環としてSDGs・ESG投資について調査や産官学連携支援をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本科研で当初設定したテーマに対して、想像以上に(アカデミアだけでなく)ビジネス分野からの期待が大きいことがあきらかとなった一年であった。これに対応して、歴史よりも現代世界のほうに焦点を当てて問題を再設定したことで、一からのスタートに近い状態になったものの、現代の社会課題の諸論点に対して急速にキャッチアップすることになった。 総体的にみて、研究プロジェクトの進度としては順調な進展だったといえる。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度についてはまず、環境文学への解説というかたちで、基本的な研究視角を文章化することを予定している。そのうえで、本科研での研究成果を年度内に取りまとめる予定である。テーマを現代に移したことで、2023年度中に論考発表が可能かは微妙な状況であるが、ビジネス分野からの要望にも応えられるようにしたい。
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