研究課題/領域番号 |
20K13175
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
程 永超 東北大学, 東北アジア研究センター, 准教授 (80823103)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 訳官使 / 情報 / 中朝関係情報 / 対馬藩 / 大陸情報収集活動 / 倭館 / 丁卯の役 / 丙子の役 / 歴聖大儒像 / 朝鮮通信使 / 情報収集 / 明清交替 / 林羅山 / 金世濂 / 柳川一件 / 壬辰戦争 / 柳夢鼎 / 燕行録 / 通信使 / 筆談 / 倭情咨文 / 対馬宗家文書 / 東アジア国際秩序 / 中国情報 / 朝鮮王朝 / 唐兵乱 / 三国間関係史 / 朝鮮 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、近世における日中関係の独特な構造とその形成過程を究明するために、まず朝鮮・対馬ルートから収集した中国関係情報を網羅的に精査し、その歴史的特質について再検討するものである。日本と韓国の七ヶ所に分散されている対馬藩宗家文書に基づき、対馬口から入った中国情報を、国際外交に影響を与えたとされる史実から、分類・整理し、その伝達実態を解明する。17 -19世紀対馬藩が収集した中国関係情報を網羅的に整理し、「北京―ソウル―釜山―対馬―江戸」ルートの通時的考察と再評価によって、近世日中外交関係形成における対馬・朝鮮の役割と位置付けを究明する。
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研究実績の概要 |
本科研の4年間で以下のことが明らかになった。①対馬藩にとっての大陸情報収集活動の重要性。大陸情報の収集は、釜山に倭館を設置した際からの目的の一つであったが、幕末期には、これが対馬藩主にとって「御役職第一」と言えるほどに非常に重要な職務となっていた。幕府は、既に入手した大陸情報の質を見極めるのに、異なる情報源からの複数の情報を照らし合わせることを意図しており、対馬からの大陸情報収集の成果に期待していた。②丁卯の役と丙子の役をめぐる対馬藩の情報収集活動の差異。女真族の動向が対馬藩主の大陸情報収集の職責形成上で促進的な役割を果たした。また、明清戦争(清の入関)以前には、対馬・朝鮮ルートは既に機能していた。③訳官使の来日が対馬藩にとって朝鮮半島や大陸情報を迅速に収集するための不可欠な手段である。訳官使が直接対馬藩主と日本語で会話することは可能であるが、会話内容が文字化される傾向にある。④柳川一件及びその影響について、朝鮮が明、そして清に報告した。朝鮮が明へ報告した際に、柳川一件の概略を伝えつつ、東莱府使・釜山僉使宛宗義成書契を部分的に削除し、馬上才の日本派遣を伏せている。明清交替後、朝鮮は清に対し、柳川一件の影響のうち、対馬が朝鮮へ送使の権益を返還したこと、玄方送使と調興送使がそれぞれ交代したこと、そして以酊庵輪番僧の交替については報告したが、以酊庵輪番制の存在は報告しなかった。⑤日本から見た近世の中朝関係。対馬を通じて朝鮮との外交・貿易が行われている中で、中朝関係の情報・知識が蓄積されている。対馬藩以外では、以酊庵輪番僧と近藤重蔵は、朝鮮が回答兼刷還使や通信使を日本に派遣するたびに、明または清へ報告したことを看破した。以酊庵僧の情報源は日朝間の国書と朝鮮の歴史書であり、近藤重蔵の情報源は日朝間の国書と中国側の史料である。
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