研究課題/領域番号 |
20K13187
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
増渕 あさ子 同志社大学, 政策学部, 助教 (80867896)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 社会政策 / 沖縄占領 / 冷戦 / 援助政策 / 軍事主義 / アジア太平洋 / 軍事ネットワーク / 開発援助 / 技術移転 / 沖縄移民 / 沖縄救済運動 / ディアスポラ / 米軍占領 / 戦後沖縄史 / 冷戦史 / 米軍統治下沖縄 / 冷戦体制 / 援助プログラム / 軍事化ネットワーク |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、米軍統治下沖縄に対して行われた援助プログラムを分析することで、沖縄が冷戦期を通して、どのようなネットワークに組み入れられたのか明らかにする。第二次大戦後、米軍統治下に置かれた沖縄では、米軍の健康維持が優先された結果、住民の医療福祉の回復が後回しにされた。沖縄内部での社会政策の不備を補う形で機能していたのが、沖縄内外を切り結んでいた様々な援助・救済活動である。本研究では、こうした活動を資金・人・物資の流れに着目しながら分析することで、沖縄をめぐってどのような「救済ネットワーク」が構築され、当時、冷戦体制を背景として拡大していた軍事ネットワークとどのように折り重なっていたのか検証する。
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研究成果の概要 |
本研究を通して、米軍統治下沖縄における社会政策の不備を補完する形で、日米両政府及び、キリスト教団体、移民といった軍官民による、多層的な沖縄救済・援助活動のネットワークが構築されてきたことがわかった。それぞれの援助政策・活動運動を分析すると、沖縄復興を掲げながらも、冷戦期の反共政策や、米国内での日系人の帰家権運動、国家主権の回復など、それぞれのアクターが別の思惑や意図をこめており、「沖縄救済」が様々なポリティクスが交差する場になっていたことが明らかになった。また、沖縄をめぐる援助ネットワークは、日米両政府のアジア(特に東南アジア)への開発援助の文脈の中でも理解すべきことが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、これまで日本本土の法体系を参照点(=「正常」)とし、米軍統治下沖縄の社会政策の制度上の欠陥を指摘する形で研究されてきた米軍統治下沖縄の社会福祉について、その「欠如」ゆえに沖縄内外を結ぶケア・ネットワークを生み出した磁場として検証することで、国家福祉に還元されない「福祉」のあり方について再考する一つのケーススタディを提示できたと考えている。また、沖縄では日本本土復帰後も、現在に至るまで高い貧困率が続いているが、本研究で示した、米軍占領という事態が社会福祉の形成をどのように歪めていたのかという観点は、沖縄の貧困の根本原因を探るためのの一つの分析視角となるであろう。
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