研究課題/領域番号 |
20K13190
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 神奈川県立金沢文庫 |
研究代表者 |
貫井 裕恵 神奈川県立金沢文庫, 学芸課, 学芸員 (40782868)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 中世寺院 / 聖教 / 古文書 / 古記録 / 寺誌 / 編纂 / 復元 / 古文書学 / 日本中世史 / 中世寺院史 / 寺院組織 / 寺院史料論 / アーカイブズ / 歴史叙述 / 中世史 / 寺院史料 / アーカイヴズ |
研究開始時の研究の概要 |
日本中世において、寺院は政治的・社会的・宗教的に重要な位置を占めていたことは言を俟たない。本研究は、寺院において集積された膨大な史料を題材として、従来の寺院組織論および寺院史料論の成果をふまえ、文庫研究および宗教テクスト研究で蓄積されてきた「目録学」の手法と、研究代表者が試みている寺誌論を寺院史料の体系的把握に生かし、近年進展のめざましい筆跡・料紙・形態論の成果を積極的に取り入れて、新たな寺院史像を再構築する。 その膨大さゆえに手つかずの史料も多い寺院史料であるが、寺院運営と修学活動の実態について、史料管理の観点から分析することで、寺院史料の特質を析出して総合化し、寺院史料の体系化を試みる。
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研究実績の概要 |
本年度は、寺院史料における記録の編纂の営為、およびいまは失われた中世寺院とその史料群の復元的検討を進めた。 第一に、中世寺院史料に数多くみられる密教修法をとりあげ、実修事例とその効験といった情報を集積した修法記録を中心に、寺院における史料の集積と編纂について考察した。このことを通じて、中世寺院の寺誌編纂の背景にある歴史叙述への意識と目的を明らかにすることを目指した。 第二に、いまは失われた寺院を、周辺や関連する寺院の聖教・文書から復元することで、寺院間ネットワークの存在を検討の俎上にのぼせた。さらに、中世寺院の運営や修学活動、それに伴う史料の書承行為は、庇護者である檀越、その文庫と密接に関わっていることを、鎌倉の真言密教寺院の事例をとりあげて論じた。 第三に、流出史料を用いて、失われた中世寺院の姿を復元しようと試みた。寺院史料のテクストのみならず、形態・筆跡・料紙など総合的に検討することで、在りし日の中世寺院史料の体系を垣間みようと試みた。 上記の検討により、中世寺院における史料の収集、編纂、書写といった史料生成にかかる営為と史料群の生成のありようを概観したうえで、京都や鎌倉の中世寺院の運営と修学活動の実態と史料集積のかかわりについて、明らかにすることができた。また、流出史料を扱ったことから、中世にとどまらない古代から近世、近代にかかる寺院史料総体の生成と変容を俯瞰することができたと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概要に示した通り、本研究遂行にあたり進めるべき要素について、本年度検討を進め、一部成果を発表することができた。しかしながら、COVID-19の影響で、出張がままならない状況が続いたため、本研究に必要な調査を実施することができなかった。状況が改善された際に調査・研究が進められるよう、いまできる範囲での準備を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
第一に、状況が改善され次第、延期してきた出張を伴う史料調査を行いたい。第二に、本年度の研究成果について、論文や資料紹介などの執筆を通じて発表してきたい。第三に、これまで準備してきた調査や検討を活かして、東寺の寺誌『東宝記』にかかる検討を全体にわたって進める。これにより原史料を素材とした寺院史料の編纂と再利用のありかたを、古文書学的かつ史料学的に解明し、中世寺誌論の構築に向けた大きな主柱としたい。
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