研究課題/領域番号 |
20K13191
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪市博物館機構(大阪市立美術館、大阪市立自然史博物館、大阪市立東洋陶磁美術館、大阪 |
研究代表者 |
島崎 未央 地方独立行政法人大阪市博物館機構(大阪市立美術館、大阪市立自然史博物館、大阪市立東洋陶磁美術館、大阪, 大阪歴史博物館, 学芸員 (80756437)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 商品流通 / 都市大坂 / 絞油業 / 摂津国 / 難波村 / 町続在領 / 地域社会 / 和泉国 / 油 / 大坂 / 種物 / 摂津 / 和泉 / 流通 / 明治維新 / 摂津・和泉 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、近世随一の経済都市大坂とその周辺地域の古文書を分析し、商品生産と流通の特徴を幕府の支配体制との関係の下で解明し、そうした近世社会のあり方が近代化のなかでどのように持続ないしは断絶していくのかを明らかにする。対象は、灯明油とその原料の種物(菜種・綿実)である。これらは幕府の強い価格統制を受けた商品であり、近世における社会・経済のありようと変化をみる格好の素材である。 そのうえで、近代以降の照明エネルギーの転換に伴う需要の変化、機械製油業の導入、明治政府の商業政策等が既存の流通構造に与えた影響を明らかにし、流通史研究のシェーマを見直すとともに、近世・近代史研究の架橋を試みる。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、大坂を拠点として畿内周辺に広がる油・種物の流通構造を、生産・流通の担い手の視座から復元すること、その際に、幕府の統制政策との関係も含めて総合的に描くことである。 所属先である大阪市博物館機構主催のyoutube講座「TALK&THINK」では、「灯明油の生産と流通―江戸の夜を支えた大坂―」と題した口頭報告を行った。従来の研究成果に加えて大阪市史編纂所で遠里小野村文書を調査した内容を盛り込んだ。この調査をきっかけに資料所蔵者ともコンタクトをとることができ、コロナ禍で停滞していた調査研究を再開できる兆しがみえた。 また、「株仲間再興後の大坂における油の生産と流通構造―摂津国遠里小野村を例に―」と題した紀要論文で、安政国訴の争点となった「御用油」が、株仲間再興後制御不能となった油市場を背景に、江戸市場への油の供給量を確保するため、江戸市場と大坂市場を結びつける意図を持って設けられたものであることを指摘した。 さらに、基盤研究A「近世巨大都市・三都の複合的社会構造とその世界史的位置―〈史料と社会〉の視点から―」(代表:塚田孝)の連携研究者として、難波村の成舞家文書(大阪城天守閣寄託)を素材に、難波村における人力絞油株の利用形態を検討した。下福島村や九条村の例も参照しつつ、大坂三郷絞油屋仲間や、種物問屋の集荷圏にほど近い三郷町続在領では、油の生産だけでなく、原料である種物(菜種・綿実)の取引に関与するにあたっても絞油屋株を取得する動向が見られたことを指摘した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス流行の余波もあり、一部着手していた個人蔵の史料調査を中止・延期せざるを得ない状況に置かれたため、調査済み資料を中心に分析を行った。当初の研究計画を遂行しきることが困難な状況であったため、1年の期限延長を申請し、承認を得た。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き遠里小野村中野家文書の調査は見送っていたが、大阪市史編纂所所蔵の遠里小野村文書とあわせて、調査を再開できる機運がみえてきた。また、一昨年購入した出油屋関係史料の整理と分析の結果を、口頭発表、論文にまとめる。
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