研究課題/領域番号 |
20K13195
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03030:アジア史およびアフリカ史関連
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
阿部 尚史 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 准教授 (20589626)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | サフィー=アッディーン廟 / アルダビール / タブリーズ / カージャール朝 / イラン / シェイフ・サフィー=アッディーン廟 / アルダビール文書 / ワクフ / サファヴィー朝 / イスラーム聖者廟 / サフィー=アッディーン |
研究開始時の研究の概要 |
西アジアのムスリム社会において、近現代にいたるまで、イスラーム神秘主義、聖者、そして教団は、民衆の信仰上のよりどころとして、また時には政治権力とも結びつき、重要な役割を有してきた。教団の廟に関する研究は世界的にも多いが、主として影響力拡大期または安定期に関するものが多い。本研究は、イラン北西部のアルダビールにあるイスラーム聖者廟、シェイフ・サフィー=アッディーン廟を例にとり、支配王朝という政治権力による庇護を喪失した後の時代に、聖者廟が主体的にどのような生存戦略を実践したのかを分析する。
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研究実績の概要 |
本研究は、イラン北西部に位置するアルダビール市のシェイフ・サフィー=アッディーン廟が、18世紀初頭にサファヴィー朝崩壊後にいかに存続したかを考察することを目的としている。 残念ながら新型コロナウィルス感染症の影響で、イランにおける夏の調査は実施を見合わせ、さらに2022年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻の影響で、サンクトペテルブルクにおける調査の目途が立たなくなり、書店などから欧米やイランの文献を取り寄せて研究を進めている。そうした事情もあり、2022年度はカージャール朝史全体との関係から調査を進めた。 まずカージャール朝の前期の権力体制を明らかにし、そこにアルダビールの統治体制がどのように位置づけられるか主にペルシア語年代記史料をもとに調査を進めた。アルダビールは、タブリーズを中心とするアゼルバイジャン州の下位に位置付けられ、地方行政官も直接中央政府から任命されるのではなくタブリーズ知事から任命されることが多いことが分かった。このアルダビール地方行政官は、廟の運営にも関与していた可能性が高く、19世紀に廟不動産目録が再編集された際にも関係していた。またアゼルバイジャン州知事は事実上の皇太子座であったことから、そこからアルダビールに派遣される知事も王家本流との関係が深く、廟の運営が王朝中枢と関係した可能性が窺える。こうした廟の位置づけが王朝組織制度にどのように関係していたのかより考察を深める必要性もわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルス感染症の影響が依然大きく、海外調査ができなかったため。またロシアのウクライナ侵攻によりロシア調査の目途が立たないため。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、海外調査を実施し、イランなどで史料調査・収集、実地調査を行う予定である。ただし、研究期間中のロシア調査が難しい可能性が高く、代替の調査を考える必要がある。研究期間の延長も視野に入れつつ、資料収集と分析を行い、今後の研究活動を着実に進める。
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