研究課題/領域番号 |
20K13197
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03030:アジア史およびアフリカ史関連
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
大江 平和 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 基幹研究院研究員 (20869193)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 中国近代史 / 中国社会福祉史 / 中国児童福祉史 / 中国慈善事業と女性 / 北京香山慈幼院 / 熊希齢 / 慈善事業と女性 / 児童福祉 / 中華民国期 / 慈善事業 / 社会事業 / 孤児院 / 香山慈幼院 / 中国民国期 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、1920年代の中国における児童福祉について、伝統的な慈善事業から近代的な社会事業への転換という視点から捉える。これまでにない財務状況の分析からその実態を明らかにしようというものである。本研究では、すでに解明した北京における児童福祉の財務状況をふまえて、北京の転換期の状況と、上海・南京における転換期の状況とはどのように異なるのかという課題に迫る。まず上記3都市について、それぞれ転換の実態を整理・分析を行う。そのうえで比較の視点を用いて、その特質と意義を明らかにするとともに、地域の多様性に即した児童福祉のあり方を解明する。
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研究実績の概要 |
①4年目の2023年度は、これまで積み重ねた研究成果の集大成として、2024年1月、白帝社より『近代中国における慈善事業から社会事業への展開:熊希齢と北京香山慈幼院』を上梓することができた。従来、清末から民国期の慈善事業については、豊富な史料を背景に、上海などを中心とする江南地方に研究が集中していたが、本書では北京を取り上げ、地域的多様性を検討する上で、今後の研究基盤を広げることができたと考えている。 ②昨年度に引き続き、本研究課題の伏線として、「慈善事業を支えた女性」というテーマも追いかけてきた。その過程で、アデル・M・フィールド著、蒲豊彦訳『私がクリスチャンになるまで:清末中国の女性の暮らし』という興味深い本に出会った。本書は19世紀後半、あるアメリカ人女性宣教師によって、中国華南の農村女性を描いた貴重な記録である。書評を書いて『順天堂グローバル教養論集』第9号に投稿したところ、査読まで順調に進み、もう一歩で掲載というところまでたどりついたが、①の出版作業に追われ、どうしても書評を修正する時間が捻出できず、取り下げざるを得なかった。しかし、書評を評価していただけたのか、編集委員会の配慮で、修正の上、翌年度(2024年度)の当該雑誌第10号に掲載していただけるという事前承諾をいただけた。 ③2023年10月1日にオンラインで開催された日中比較文化学会関東支部例会にて、「『北平香山慈幼院院刊』からみる卒業のゆくえ」というタイトルで口頭発表を行った。本発表では、1920年代、中国民国期の慈善事業が社会事業へと移行する過程という視点から、中国北京で慈善教育事業を展開した香山慈幼院という孤児院の卒業生の進路とネットワークを解明し、香山慈幼院の意義を再検討した。参加者からは質問や貴重な助言が寄せられ、研究代表者にとって今後の研究について思索を深める上で、有意義な交流を行うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究代表者はこれまでの研究の集大成として、2024年1月、白帝社より『近代中国における慈善事業から社会事業への展開:熊希齢と北京香山慈幼院』を出版することができた。そのため「当初の計画以上に進展している」とした。
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今後の研究の推進方策 |
本課題の採択期間を1年延長し、いよいよ2024年度が最終年度となった。①8月から9月までの間に、1年目から4年目に計画を立てながら実現できなかった、中国・台湾への史料調査を行う。②査読済みの書評『私がクリスチャンになるまで:清末中国の女性とその暮らし』をコメントの沿って修正し、『順天堂グローバル教養論集』第10号に再投稿する。③この4年間で得られた研究成果と収集した史料をまとめて、積極的に日本比較文化学会、北京史研究会などの学会や研究会で発表、論文投稿などを行い、本課題をしめくくりたいと考えている。
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