研究課題/領域番号 |
20K13210
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
梶 さやか 岩手大学, 人文社会科学部, 准教授 (70555408)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | ナショナリズム / ポーランド / 一月蜂起 / リトアニア / ベラルーシ / ロシア帝国 / ロシア |
研究開始時の研究の概要 |
旧ポーランド=リトアニア「共和国」再興運動である1863‐64年の蜂起の敗北がきっかけとなって、ロシア帝国の西部諸県やポーランド王国では民衆に基盤を置いたナショナリズムが登場することとなった。本研究は、主要なものに限定するものの、文学作品や回想録、芸術作品等の様々な媒体に現れたこの蜂起の記憶や表象のあり方(場合によっては忘却)を手掛かりに、19世紀後半から20世紀初頭にかけての、ポーランド、リトアニア、ベラルーシ等の諸民族のナショナリズムの形成・展開ならびにその相互関係の一側面を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究は、ロシア帝国支配下の旧ポーランド=リトアニア共和国領における、諸民族のナショナリズムの形成・展開ならびにその相互関係を、19世紀後半の対ロシア一月蜂起とその記憶を手掛かりに明らかにしようとするものである。 本年度も海外での資料収集が行えなかったため、当初計画からは方針を変更して、国内あるいはオンラインで入手可能な資料、購入可能な資料をもとに研究を行った。各国でデジタル化が進められている19世紀・20世紀初頭当時の活字メディアの利用を重視した一方で、絵画や図版、記念物などの図像学的な資料の収集については、今後の課題として残されている。 今年度は、まず、従来に引き続き、ポーランド社会の一月蜂起の記憶と、ロシア当局による鎮圧やその後の支配、ポーランドの記憶の形成へのロシアのからの影響について考察を進め、論文として公刊した。そこでは、一月蜂起に関するポーランドの愛国的な言説、特に、カトリック聖職者による蜂起への参加や支持という「神話」が、ロシア帝国北西部諸県で一月蜂起を強硬に鎮圧したヴィリナ総督M・ムラヴィヨフによる蜂起鎮圧策とその後の政策に現れたカトリック教会や聖職者に対する、厳格で抑圧的な対応によって生じたことなどを指摘した。 次に、ポーランド社会やロシア社会における、一月蜂起とその敗北(あるいは鎮圧)の記憶とムラヴィヨフに関する記憶、特に彼の記念碑建設の問題について、19世紀後半当時のナショナリズムや王朝統治の正当化の必要性から行われる記念碑ブームに位置づけながら、検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2ヶ年以上続いた新型コロナウイルスの感染拡大とそれに伴う移動・渡航の制限が本年度途中で解除されたものの、ロシアによるウクライナへの侵攻に伴ってロシアやベラルーシへの渡航制限は残り、計画していた資料収集等を目的とした海外出張は引き続き実施できなかった。また、新型コロナウイルス感染拡大防止のための行動制限から、出勤できない日も多く、研究時間が予定よりも大幅に減少した。そのため当初研究計画よりも作業が遅れている。 資料収集が予定通り進まなかったため、考察・検討するテーマを当初の予定から変更した。他方で、利用・検討する資料・文献を、ポーランドやリトアニアに限定せず、ロシア帝国やオーストリア帝国に関連するものにも広げて検討した。その結果、複数のネイションの形成が相互に関連しながら展開することを指摘できたり、より広い文脈で自らの研究を位置づける視野を獲得できたりした。この点は当初の計画からそれているものの、大きな成果であった。 これらを合わせて「やや遅れている」と判断する。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスに関連する渡航制限が廃止されたので、今後は、ポーランドやりとあにあなどに出張を行って、国外の研究者との意見交換や資料収集を行うこととする。その際は現地に滞在できるメリットを活かして、絵画や図像資料、記念物などについての調査も進めたい。 また、引き続き、オンラインで利用可能な資料の収集や、リモートでの意見交換などを行っていく。
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