研究課題/領域番号 |
20K13213
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
小林 繁子 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (20706288)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 魔女 / 請願 / ポリツァイ / 帝国最高法院 / 魔女裁判 / 名誉棄損 / 帝国宮内法院 / 近世ドイツ / 近世神聖ローマ帝国 / 犯罪史 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、臣民の主体的な働きかけである請願と領邦の法令がどのように結びつき、秩序形成に寄与したのか、近世的支配形成の在り方を有機的に理解するための実証的研究である。具体的には、重犯罪から軽微な風紀違反に至る様々な逸脱行為に関する近世神聖ローマ帝国西部地域における領邦レベルの法令(ポリツァイ法と総称)と臣民からの個々の請願を調査・収集して比較検討することで、臣民の要求がポリツァイ法に反映されているのか、されているとすればどの程度か、また反映の程度に差異があれば、それはどのような条件によるのかを検討・分析する。対象とする領域は神聖ローマ帝国西部のカトリックおよびプロテスタント領邦である。
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研究成果の概要 |
本研究は、近世国家形成の過程で進展した、規律化と臣民の自発的な働きかけを表裏一体として捉えることを目指した。2020年度にはマインツ選帝侯領における請願人の働きと役人の職掌を分析し論文「請願と交渉」(『西洋史研究』新輯第50号)をまとめた。下位の在地役人と上位役人との態度の不一致が請願人に交渉の余地を作ったことを明らかにした。2022年度以降には比較的アクセスの容易な帝国裁判所史料に基づく研究成果をまとめた。2023年度には帝国宮内法院の裁判史料の渉猟を開始した。帝国最高法院との比較を含め、帝国宮内法院の魔女事例についての研究はほぼ皆無であり大きな手ごたえを感じている。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年先進国ではポピュリズムが台頭し、その排外主義を露わにするようになった。民主主義的な価値である「多数の政治参加」のネガティブな側面と言える。こうした現代的問題を前に、本研究は前近代社会において「臣民」が「お上」にどのような動機からどのようなコミュニケーション回路を通じて働きかけ、またそれが社会全体にどのような帰結をもたらしたのかを明らかにすることを目指すものである。領邦―帝国という重層的な司法機構の中で臣民がその制度をどのように利用したのか、学識者などエリート層、役人、領主はそれにどう答えるのかを問う本研究は、上下双方向のコミュニケーションとしての支配実践を実証的に明らかにするものである。
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