研究課題/領域番号 |
20K13215
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
野口 理恵 奈良女子大学, アジア・ジェンダー文化学研究センター, 協力研究員 (70835339)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 修道女 / 愛徳姉妹会 / 戦時救護 / フランス / 看護 / 女子修道会 / クリミア戦争 / 聖母の出現 / 近代 / ナイチンゲール / 病院 / 近代フランス / 社会福祉 / 看護史 / 宗教社会史 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、近代フランスにおける女子修道会の社会福祉活動に着目し、修道女たちが必要とされた現場、活躍した場所について考察をおこなう。対象とする時代は主に復古王政期から第二帝政期である。この時代は、公的なものが国家に取り込まれる以前の社会であり、修道女たちは、公的な病院、学校、孤児院、福祉施設などの管理を担っていた。これまでの「国家と教会の軋轢」という、フランス近代史の枠組にとらわれず、私的な施設のみならず、公的な現場で、修道女が必要とされた要因を、修道女の養成の側面や社会背景から明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究は、世俗化が進む第三共和政期以前に着目することで、近代フランスにおける女子修道会の社会福祉活動を、孤児院、慈善学校、病院といった施設との 繋がりや、国家との繋がりを多角的に考察して当時の社会の仕組みを明らかにするものである。研究を進める上で以下の三つのテーマを設定している。 1パリの公立病院と女子修道会の連携 2修道女の育成 3福祉施設と女子修道会。令和5年度(2023年度)は、昨年度に引き続き、2のテーマを進めた。 シスターの戦時救護と伝染病対応といった危険任務に関する研究内容を、2023年9月29日・30日に開催された奈良女子大学・岡山大学思想史合同研究会にて報告をおこなった。これは令和3年(2022年)に、赤十字の創設者が提唱した理念は、17世紀からすでに愛徳姉妹会が実践していたという内容をまとめた論文「女性による戦時救護の黎明 -愛徳姉妹会の創設とフランス・スペイン戦争-」をさらに発展させたもので、修道女たちのメンタリティーや宗教意識、社会的な役割から探ったものである。また、令和3年度末には奈良女子大学 古代・聖地学研究センター主催のシンポジウムにて「19世紀フランスにおける聖母の出現 -パリを中心に-」と題しておこなった報告をもとに論文にまとめる作業をおこなった。これは、シンポジウムの内容を大幅に発展させたもので、当時、愛徳姉妹会とラザリスト会を率いていた、総長ジャン=バチスト・エチエンヌに着目した内容である。論文集編集作業遅延のため次年度刊行の予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究初年度からのコロナ禍と昨年度の家庭状況が尾を引いており、全体的に遅れ気味である。また、上記研究テーマ2に関連した修道女の戦時救護の研究が当初の予定よりも長い時代区分を捉える必要があり、時間がかかっている。しかし、これは本研究の中でも重要なテーマになるため、慎重に研究を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度に刊行させるはずであった論文は、時間の余裕を得たため、さらに推敲を重ねて仕上げ、それと合わせて、令和6年度は近代の修道女の戦時救護に関する論文を執筆する予定である。また、次年度8月に開催される学術集会での発表も視野に入れている。 また、令和4年度の状況報告書で、「これまでの研究で、薬剤師業務は修道会の中でも最も重要な役目とされていたことが判った。そのため、研究テーマの微修正として新たに、修道女の薬剤師としての業務を取り上げてみたいと考えている。」と本欄に記入したが、史料収集に時間がかかっている。そのため、おそらく次年度中に発表できるところまではいかないが、関連テーマとして引き続き並行して進めてゆく。
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