研究課題/領域番号 |
20K13219
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
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研究機関 | 福岡女子大学 |
研究代表者 |
藤原 翔太 福岡女子大学, 国際文理学部, 准教授 (50824166)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | フランス革命 / ナポレオン / ブリュメール派 / 共和暦8年プリュヴィオーズ28日法 / 中央集権 / 地方行政 / 名士リスト制度 / ナポレオン時代 / 選挙 / 統領政府 / 県会 / 郡会 / ラングドック / 地方三部会 / ガール県 / 地域間比較 |
研究開始時の研究の概要 |
ナポレオン時代フランスの地方統治体制の特質を、一般利害と地方利害の明確な分離による地方行政の地方利害団体化にあると想定し、革命期からナポレオン時代にかけて一般利害と地方利害の問題はいかに折り合いをつけられて地方統治が実現され、またその性質はいかに変化したか明らかにする。その方法として、地域間比較アプローチを用いつつ、県次元以下の地方行政における行政官の地域代表性の実現可能性について分析する。
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研究実績の概要 |
今年度の3月に渡仏し、およそ3週間にわたりニーム市に所在するガール県文書館での史料調査を実施することができた。それにより、ナポレオン時代の選挙に関する史料と、フランス革命期の地方行政に関わる史料のうち、総裁政府期の県行政に関する史料と小郡行政当局の議事録を網羅的に収集することができた。とくにガール県文書館には、総裁政府期の小郡行政当局の議事録が多数保存されていることが判明し、今後の研究の進展の可能性を感じさせるものであった。また、フランス現地での史料収集が可能になるまでの間に、ナポレオン時代の地方行政制度を創設した共和暦8年プリュヴィオーズ28日法の制定プロセスに関する研究を行った。従来、フランス地方行政の中央集権化を実現した同法の制定は、ナポレオンの独裁志向から説明されてきたが、実際に同法の制定を推し進めたのは、ブリュメール派と呼ばれる革命家たちであった。そこで、ブリュメール派が革命の終盤にいかなる思惑で同法を制定するに至ったかを明らかにするために、議会議事録を用いて、同法案の審議過程を検討した。その結果、ポスト革命期の政治エリートたちは、旧体制期から革命期にかけての地方行政システムに対する共通の歴史認識を持っており、とりわけ人民の選挙で選ばれた多数の行政官からなる討議団体としての地方行政が革命期に法の執行をしばしば阻害したこと、そして地方行政が政治クラブや民衆などの外部圧力に屈する場合が多々みられたことを問題視していたことが明らかとなった。これらの問題を解決するために、ブリュメール派においては、地方行政における執行の単一性と地方行政の明確な役割分担の必要について広い合意が形成されたのである。以上の研究成果は、「共和暦8年プリュヴィオーズ28日法からみるブリュメール派の統治理念」『史学研究』315号、2023年9月に掲載予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍が終息に向かい、今年度の3月にようやくフランス現地での史料調査を実施することができた。しかし、本来であれば、それまでに複数回現地での史料調査を実施する予定であったため、当初の計画からの遅れを取り戻すには至っていない。今回収集した史料の解析は来年度に実施し、その成果をまとめて発表する予定である。その一方、日本にいながらも研究が可能であった議会議事録の解析により、共和暦8年プリュヴィオーズ28日法の制定プロセスを明らかにすることができた。これにより、昨年度から引き続き、ブリュメール派の統治技法に関する研究を進展させることができた。これは、フランス革命からナポレオン時代にかけての地方行政制度の質的変化を明らかにするうえで、重要な成果である。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は本研究の最終年度にあたるため、今年度に実施したフランス現地での史料調査により収集した史料の解析を実施し、それらの研究成果をまとめて発表する予定である。ナポレオン時代の県会と郡会の活動実態と両者の関係を明らかにし、これまでの研究で明らかになった地方行政に関するブリュメール派の統治理念と照らし合わせて、革命期とナポレオン時代の地方行政制度の特質を比較検討することが課題となる。
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