研究課題/領域番号 |
20K13222
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
菅原 未宇 東海大学, 文学部, 准教授 (10645310)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ポリス / 都市統治 / 中間層 / 災害 / ロンドン / 都市史 / チャリティ / 災害史 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、ヨーロッパ世界で最も早く大都市化を経験した17世紀ロンドンの人々が、どの程度その社会変化に対応できたかを探るものである。貧民の増加や治安の悪化、災害の頻発といった大都市化に伴う問題が先鋭的に現れた東部郊外を対象に、諸権力と地域住民がどのようにそれらの問題に対処したか、あるいは対処できなかったかについて、権力間を繋ぐ媒介者(地域の顔役)の活動に着目しながら明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究課題は、その統治に関してこれまで本格的研究がなされてこなかったロンドンの東部郊外を対象に、地域住民とロンドン市の諸団体による貧困や災害といった様々な問題への対処を分析することで、統治の具体相とその変化を明らかにすることを目的とする。令和4年度は、令和3年度から引き続き、地域エリートの人的関係の結節点としての学校の分析を行い、イートン校とウェストミンスタ校を対象としたその成果の一端を、岩井淳、道重一郎編『複合国家イギリスの地域と紐帯』所収論文「複合国家と教育―イングランドの文法学校が果たした役割」で公刊した。ここで明らかにした学校の同窓関係を通じた紐帯が、ロンドン郊外統治に活用された可能性を探る目的で、郊外に位置するハイゲート校の理事や生徒に関する史料の収集を、夏季と春季の二度の海外現地調査の機会に行った。また春季の海外調査においては、学校だけではなく救貧院の運営を通じて構築された地域エリート間の協力関係が、郊外統治を下支えしていた可能性を考察する目的で、ロンドン東部郊外に存在した小間物商カンパニーなどが運営する複数の救貧院の史料を収集した。今後、収集史料の分析を進めるとともに、ミドルセックス州の治安判事としてロンドン市内だけでなく郊外地域の統治に関わったと考えられるロンドン市の法律顧問官などのすでにリストアップしている郊外統治に関わる何人かの人物とそれら学校や救貧院のチャリティ活動との関係性を明らかにしていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題がまず着手した、ロンドン東部郊外を管掌する諸権力の構造の把握については、これまでの調査で確定することができた。ただ、次の研究段階として設定していた、諸権力を担う人物の詳細の再構成と複数の権力を繋ぐ媒介者の存在の特定について、電子化史料から裏付け可能なロンドン市法律顧問官とその周囲の人間関係の把握は完了したものの、関連史料が電子化されていないそれ以外の統治エリートに関しては、令和4年度になってようやく海外調査が可能となり、現地での史料収集をある程度行うことはできたが、分析についてはまだ十分に進められていない。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度前半は、令和4年度の海外調査で収集したロンドン郊外に位置する学校及び救貧院の運営に関わる史料を分析し、ロンドンの郊外統治に関与した人物との関係を明らかにし、その研究成果を論文の形で公刊することを目指す。また、夏季に海外調査を行い、分析過程で必要と判断された追加の史料収集を行う予定である。年度後半には、収集した史料の分析を進め、さらなる研究成果公刊の準備を進めたい。
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