研究課題/領域番号 |
20K13224
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 (2023) 武蔵大学 (2020-2022) |
研究代表者 |
舘 葉月 慶應義塾大学, 文学部(三田), 准教授 (50803102)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 赤十字国際委員会 / 国際赤十字・赤新月運動 / 第一次世界大戦 / 国際人道法 / 感情史 / 戦争捕虜 / アンリ・デュナン / ギュスタヴ・モワニエ / 赤十字運動 / 国際赤十字運動 / 人道主義 |
研究開始時の研究の概要 |
19世紀後半から科学的知見や専門性を重視する「近代的人道主義」の時代が始まり、第一次世界大戦の惨禍は人道活動を活発化・国際化させる契機となった。国際赤十字運動はその過程で最も重要なアクターのひとつである。本研究の目的は、両大戦間期の国際赤十字運動が、その「人道主義」的目的のために、いかに組織化と専門化を推進し、他の人道アクターと関係・ネットワークを結び、国際社会にいかなる「人道主義」をいかに根付かせたのかを明らかにすることである。そのために、1、「人道主義」概念の整理、2、組織化と法制化に着目した人道活動のトランスナショナル・ヒストリーの叙述、3、人道問題をめぐる感情の動員と制御の分析を行う。
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研究成果の概要 |
本研究においては、両大戦間期の国際赤十字運動の進展と国際人道法が整備される過程を検証し、「人道主義」が国際社会における主要な規範となり、それに基づく様々な活動が活発化する過程と、その限界・阻害要因を明らかにした。赤十字運動創設の契機となったアンリ・デュナンの『ソルフェリーノの思い出』の受容を感情史および法制史の側面から検証することで、人道主義が19世紀後半から20世紀前半にいかに定着したのかを論じた。また、第一次世界大戦に由来するさまざまな人道危機への対応をめぐり、人道主義がいかに実践されたのか、そしてその都度の経験がその後の時代にどのように反省・反映されたのかを検討した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、トランスナショナル・ヒストリーの手法ならびに感情史的アプローチという、従来の国家主体の国際関係史を刷新する方法論を採用している点で、学術的意義が認められる。すなわち、多様なアクター(諸国家、諸組織、とりわけ個人)によって構成され、それぞれが不均衡で流動的な関係性を結び、そのダイナミズムの中で「人道主義」という規範が成立・維持・変質する場としての国際社会の在り方を示そうと試みた。また、「人道主義」の歴史を主題に据える本研究は、国際社会の一員としてグローバル・イシューの解決のために積極的に取り組むことが求められる現代の日本に示唆を与えるという意味で、社会的意義があるものと考える。
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