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戦間期ハンガリーにおける国民統合の実相:旧領からの避難民を事例として

研究課題

研究課題/領域番号 20K13227
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
研究機関近畿大学

研究代表者

辻河 典子  近畿大学, 文芸学部, 准教授 (50724738)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
キーワードハンガリー / 戦間期 / ナショナリズム / 第一次世界大戦 / 難民
研究開始時の研究の概要

ハンガリーでは第一次世界大戦後の歴史的領土の解体が現在でも「民族の悲劇」として語られる一方で、周辺国の領土となった地域からハンガリー国内への避難民について語られることは少ない。本研究では、避難民に対する社会福祉政策に注目し、主に文書館史料を参照しながら、国営住宅団地に移住した避難民と隣接地域の住民(主に労働者)との具体的な関係を分析することを通じて、戦間期ハンガリーの国民統合政策の再考を目指す。

研究実績の概要

本研究の目的は、第一次世界大戦後にハンガリー領内に逃れた避難民が移住先で現地住民とどのように関わり合いながらハンガリー社会に統合されていったのかを明らかにすることである。
当初の研究計画では、本年度は史料調査とその分析を集中的に行い、その成果を取りまとめて学会発表や論文執筆を通じて公表する予定であった。本年度は所属機関の在外研究制度を利用してブダペシュトに滞在することができたため、ようやく史料調査を実施することができた。しかし、同市立文書館での調査では期待した成果を得ることができなかった。それでも避難民の流入や領土解体を経験した戦間期ハンガリーの国制を考察した成果を、研究発表および論文として公表することができた。
また、ブダペシュトに滞在したことで、本研究課題が対象とする避難民が住むようになった区域を訪れて現状を見学することができた。この区域は1950年以前はブダペシュト市域の外にあったが、1920年代初頭に住宅政策の一環として住宅地(団地)が整備され、避難してきたハンガリー語話者にもその一部が提供された。彼らが住むようになった区域には、今もトランシルヴァニアやスロヴァキアなど第一次世界大戦後に周辺国の領土となった地域の地名を冠した通りが並んでいる。他方で、この区域の住民には住環境の良さを求めてペシュトから移住した者たちもいたため、避難民はその者たちと共に団地とその住民として社会的に統合されることにもつながった。だが、トリアノン講和条約調印100周年(2020年)を控えた頃から、旧領からの避難民の存在を「発掘」・「再発見」して地域の歴史として記憶しようとする動きがあることも確認することができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2023年度にようやく現地での史料調査を実施することができたものの、ブダペシュト市立文書館での調査では期待した成果を得ることができなかった。また、2022年度の研究成果であった共著書が出版条件の変更に伴って最終的に刊行取り止め(学術雑誌の特別号に形を変えて2024年に刊行予定)となった。編集委員としてこの状況に対処する必要に迫られたため、研究に専念しづらい環境に置かれてしまった。

今後の研究の推進方策

これまでの史料調査の成果と比べると、反難民・移民政策を強める現在のハンガリーにおいて旧領からの避難民を改めて記憶しようとする多様な動きについての情報収集の方が成果が上がっており、避難民をめぐる歴史的記憶に研究の軸足を移すことも視野に入れて進めていきたい。

報告書

(4件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 2020 実施状況報告書
  • 研究成果

    (8件)

すべて 2024 2023 2022 2021 2020

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (4件)

  • [雑誌論文] 「王のいない王国」の政治体制をめぐる議論 ─1930年代末のハンガリーを題材に─2024

    • 著者名/発表者名
      辻河典子
    • 雑誌名

      東欧史研究

      巻: 46 ページ: 71-77

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 「子どもの保護」の名の下に――ハンガリーの「反LGBTQ+法」とヨーロッパ政治2022

    • 著者名/発表者名
      辻河典子
    • 雑誌名

      ワセダアジアレビュー

      巻: 24 ページ: 31-36

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 「王のいない王国」の政治体制をめぐる議論 ─1930年代末のハンガリーを題材に─2023

    • 著者名/発表者名
      辻河典子
    • 学会等名
      2023年度東欧史研究会大会「立憲君主政と民主共和政の相克」
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] Between National Unity and Local Identity: Intellectuals in Transylvania after 19182021

    • 著者名/発表者名
      Noriko TSUJIKAWA
    • 学会等名
      ICCEES 10th World Virtual Congress
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [図書] 多様性を読み解くためにⅡ:身近な視点からとらえなおす2023

    • 著者名/発表者名
      エスニック・マイノリティ研究会編.共著者:遠藤嘉広、金雪梅、JA日下、栗林大、香坂直樹、小島望、佐藤勘治、鈴木珠美、辻河典子、鶴園裕基、松岡格、水野延之、森下嘉之、森山至貴
    • 総ページ数
      156
    • 出版者
      東京外国語大学海外事情研究所
    • ISBN
      9784909866042
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [図書] パリ講和会議体制とハンガリー2021

    • 著者名/発表者名
      辻河典子
    • 総ページ数
      336
    • 出版者
      東京大学出版会
    • ISBN
      9784130261708
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [図書] 「民族自決」という幻影2020

    • 著者名/発表者名
      大津留厚、野村真理、柴宜弘、米岡大輔、辻河典子、篠原琢、桐生裕子、ボシティアン・ベルタラニチュ、飯尾唯紀、馬場優、森下嘉之、村上亮
    • 総ページ数
      344
    • 出版者
      昭和堂
    • ISBN
      9784812220016
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [図書] 多様性を読み解くために2020

    • 著者名/発表者名
      荒井幸康、上田貴子、遠藤嘉弘、北田依利、JA日下、栗林大、香坂直樹、小島望、佐藤勘治、重松尚、辻河典子、中澤拓哉、松岡格、水野延之、森下嘉之
    • 総ページ数
      220
    • 出版者
      東京外国語大学海外事情研究所
    • ISBN
      9784909866028
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書

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公開日: 2020-04-28   更新日: 2024-12-25  

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