研究課題/領域番号 |
20K13228
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
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研究機関 | 独立行政法人国立美術館京都国立近代美術館 (2022-2023) 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館 (2020-2021) |
研究代表者 |
村松 綾 独立行政法人国立美術館京都国立近代美術館, 学芸課, 研究員 (60865442)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 金工 / 金属工芸 / バーゼル / ニュルンベルク / 都市史 / 手工業 / 職人 / アルザス / 手工業者 / 社会史 / 技術史 / 経済産業史 / 彫金師 / 自然物鋳造 / ヴェンツェル・ヤムニッツァー / アメルバッハ・キャビネット / 焼失原型 / 16世紀 / 南ドイツ / 社会文化史 |
研究開始時の研究の概要 |
16世紀ドイツの金工家ヴェンツェル・ヤムニッツァーとスイスの金工コレクションであるアメルバッハ・キャビネットの関係を中心に、中近世のドイツ・スイスの金工・職人について、作品・技術の分析に加え、流通、素材の確保、徒弟制、発注ネットワーク、組合、職人の都市での役割といった美術史・社会史・経済史・都市史にまたがった視点からアプローチを行う。学際的な分析により金工作品の社会的意義と職人の社会的役割に焦点を当てることで、金工を通してモノとヒト双方から中近世ヨーロッパの社会像を再構築し、将来的には金工を美術史だけではなく歴史学全体で共有できる研究主題に発展させる。
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研究実績の概要 |
本年度は研究における感染症の影響もほとんどなくなったが、本務の都合上海外史料調査が困難だったため、史料の手配を主にスイスからのデジタル・データの取り寄せによって行った。データ作成者は必ずしも中近世の手稿文書を読解できるとは限らないため、該当ページの同定が難しく結果多くの頁数のデータ化を依頼することになり負担をかけてしまったことが反省点である。デジタル複写サービスは日本に居住するヨーロッパ史研究者にとって非常に便利ではあるが、現地で自分で調査を行った上で、撮りもらしてしまった部分のみ依頼するような利用方法が持続的な歴史研究につながると強く感じた。 (1)史料収集:【一次史料】バーゼル大学図書館、及び州立文書館の協力により、前年度公表の論文で言及した会議の記録史料を入手することができた。【二次史料】海外調査は叶わなかったが、本務先にニュルンベルクの歴史研究者が訪問し、その縁でゲルマン国立博物館の職員の助力を得て、中近世ニュルンベルクの手工業者と工具に関する図録、加えて関連情報を入手することができた。 (2)論文等執筆:本務で参加したアーカイブズ・カレッジ(史料管理学研修会)に修了論文「アメルバッハ・キャビネット:コンテキスト分析による原秩序類推の試み」を提出した。アマルバッハ・キャビネットには多くの金細工資料が含まれ、もの資料・財産目録等の文書資料の双方を分析した本修了論文は、研究課題の基礎的な理解を大いに助けるものと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
年度前半までは順調に進展していたが、本務において最優先で対応すべき課題が発生したため後半は本研究課題に取り組むことが難しく、次年度に持ち越しとした。
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今後の研究の推進方策 |
本務における2回の長期出張や、後半における本研究課題遂行の困難さはあったが、本年度はバーゼル大聖堂の史学研究者とメールを通じて知り合うことができ、また前述のニュルンベルクのゲルマン国立博物館の職員との交流もあったことで、現地での研究環境はより整ったと感じている。航空運賃の高騰などの影響もあるが、渡航が困難であってもこれまでに入手することができた一次史料の分析と、二次史料による周辺情報の整理を通じて博士論文の準備に取りかかりたい。
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