研究課題/領域番号 |
20K13229
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03050:考古学関連
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
白石 哲也 山形大学, 学士課程基盤教育院, 准教授 (60825321)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 弥生時代 / 食文化 / 実験考古学 / 残存脂質 / コメ / 魚 / 調理 / 土器付着炭化物 / 魚食文化 / 調理実験 / 土器使用痕 / 残存脂質分析 / 稲作 / 民族考古学 / 脂質分析 / 炭素・窒素同位体比分析 / 考古学 / 民族誌調査 |
研究開始時の研究の概要 |
弥生時代は、コメを主体とした食文化として説明されてきた。翻って、現代日本の食卓風景を考えると、魚が重要な地位にあることに気づく。海に囲まれた日本の食文化は「米と魚」の二つの食文化の組み合わせで成立しているのである。では、なぜ弥生文化ではコメばかりが強調されるのであろうか。これは、食糧生産穀物としてのインパクトが非常に強いことが要因となる。しかし、食文化という側面から考えた場合、縄文時代に始まる魚食文化の存在を忘れてはいけない。そして、コメと魚が基本となる食卓風景は弥生時代に始まるのである。つまり、弥生時代の魚食文化の解明は、現代日本の食卓風景の始まりを解明することを意味する。
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研究成果の概要 |
本研究の目的は、弥生時代における魚食について考古学的・理化学的分析を用いて、総合的に解明することである。特に、弥生遺跡から出土した土器について、土器調理痕跡と付着炭化物の残存脂質分析を実施した。その結果、内陸物・沿岸部を問わず、魚調理が一般的に行われていることを明らかにした。また、それらの遺跡で行われている動物遺存体分析から、内陸物では淡水魚、沿岸部では海水魚が対象となっている可能性が高いことが明らかであり、初期稲作農耕開始期から「コメと魚」の食文化が各地で成立していたことが分かった。これらの成果は、国内外の会議と国内論文誌に発表した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
弥生時代は、日本列島で稲作農耕が開始された時代である。従来の食に関わる研究は、コメに高い比重が置かれてきた。しかし、実際にはコメだけでなく、縄文時代以来の多様な食材が利用されてきたことは疑いない。一方で、現代日本における和食の基本は「コメと魚」である。本研究では、この魚の食に着目し、調査・分析を行った。その結果、弥生時代では内陸部および沿岸部を問わず、積極的な「魚食」が明らかになった。つまり、稲作導入期にはすでに「コメと魚」を組み合わせた食文化が始まっていたのである。これにより、和食のはじまりは、すでに弥生時代にその萌芽を確認することができた。
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