研究課題/領域番号 |
20K13230
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03050:考古学関連
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研究機関 | 京都大学 (2021-2022) 金沢大学 (2020) |
研究代表者 |
大谷 育恵 京都大学, 白眉センター, 特定助教 (80747139)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 放射性炭素年代測定 / エニセイ川流域 / タシュティク文化 / マルケロフ・ミス遺跡 / エニセイ川 / 匈奴 / 匈奴-サルマート期 / 中国系文物 / 匈奴=サルマート期 / タガール文化テシ期 / 漢式文物 |
研究開始時の研究の概要 |
ユーラシア大陸の東部草原地帯上で強大な遊牧国家がどこでどのように誕生し、地域間で相互影響関係を持っていたのかについては十分に明らかにされていない。近年、モンゴルとロシア・ザバイカル地域の匈奴の遺跡は調査が進んだが、その西に隣接するエニセイ川上流域には匈奴に匹敵する大型墳を伴う考古学文化が存在するものの、両者の関係は具体的に考察されていない。 本研究の目的は、エニセイ川上流域の遺跡を実年代をともなう形で整理し、モンゴル高原に分布する匈奴の遺跡との関係を考古資料から明らかにしてゆくことである。「堅昆」などに比定されてきた同地の遺跡を匈奴=サルマート期(前3世紀~後2世紀)の枠組みの中で再検討する。
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研究実績の概要 |
2022年年末には、コロナ後の調査研究の再開を目指して、ロシア側と連絡を取っていた。該当地域のコロナ禍期間中のニュースとしては、エニセイ川流域のタシュティク文化の遺跡として有名なオグラフティ遺跡の新たな発掘をエルミタージュ美術館が実施し、その報告が刊行されたことがあった。放射性炭素年代測定も新たな発掘に基づいて実施されていたので、(1)エニセイ川流域とその上流部にあたるサヤン地域、(2)それに隣接するアルタイ地域の匈奴-サルマート期の遺跡とその放射性炭素年代測定結果を集成して検討した。 オグラフティ遺跡などタシュティク文化の遺跡から出土した中国系文物の現地調査を2023年春から実施予定であったが、これについては侵攻の継続により実施しなかった。しかしながら、上述の検討と資料集成の結果、マルケロフ・ミスⅡ遺跡出土資料に対して実施する予定で進めていた放射性炭素年代測定については、侵攻開始前に試料が発送されていたため受領し、測定を実施した。 比較的近年、ノヴォシビルスク国立大学とハカス国立大学はタシュティク文化の遺跡を発掘調査し、『ハカス-ミヌシンスク地区のタシュティク遺跡』(2007年)という報告書を刊行していたので、調査者らと連絡をとり、マルケロフ・ミスⅡ遺跡を測定候補に絞り込んだ。この遺跡は規模においても10mを越える大墓から小型墓、埋葬遺構においてもいわゆるタシュティク文化を代表する石築古墳から段列状の石築埋葬施設の墓など多様な要素が混在する墓地であったため、測定例がなかったタイプの埋葬遺構に対して測定を実施し、各種構造の埋葬遺構が同一年代のものかどうかを検証した。放射性炭素年代測定を実施例を増やし、その結果を中国系文物の再整理から導き出される年代と比較するのが本研究の目的であるが、後者の現地調査ができないため前者の段階で止まってしまった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2022年2月から始まったロシアのウクライナ侵攻とその長期化のため。コロナ禍後を見据えて2022年度春から現地調査を計画していたが、侵攻により現地渡航、共同研究ともに先行きが見通せなくなった。
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今後の研究の推進方策 |
採択初年度よりコロナウイルス感染症の世界的蔓延と重なったため、1年間の延長は予定していた。しかし、ロシアによるウクライナ侵攻も研究実施のための困難として加わった。 共同研究ならびに現地調査を実施するのは、南シベリアを対象としているとはいえふさわしくない。したがって、中国系文物の整理を通してユーラシア草原地帯の広域編年の整備を図るという目的は維持したまま、調査地対象地を南シベリアの周縁にあたるモンゴル国、カザフスタンなどに振り替えて調査を実施する。
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