研究課題/領域番号 |
20K13235
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03050:考古学関連
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
岩瀬 彬 東京都立大学, 人文科学研究科, 助教 (70589829)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 実験考古学 / 石器使用痕分析 / 刃部磨製石斧 / 旧石器時代 / 実験使用痕研究 / 後期旧石器時代前半期 / 使用痕分析 / 痕跡研究 / ホモ・サピエンス / 現代人的行動 |
研究開始時の研究の概要 |
世界各地へ拡散した初期の現生人類は、各地の環境に応じて多様な技術や行動を柔軟に生み出した。約3.8万年前頃に日本列島へ到達・定着した現生人類もまた、列島の冷温帯の森林的環境に適応的な技術や行動を組織していた可能性が高い。刃部磨製石斧をはじめとする後期旧石器時代前半期の各種石器はどのような機能・用途をもっていたのか。本研究では基礎的な実験研究と遺跡資料の石器使用痕分析、そして遺跡発掘を通して、後期旧石器時代前半期の各種石器の機能・用途を明らかにするとともに、列島に最初期に到達した現生人類が伐採から木製道具製作へといたる木質資源の組織的な加工技術を発達させていた可能性を検証する。
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研究成果の概要 |
本研究は、日本列島に最初期に到達した現生人類が約3.8万年前から3.0万年前の冷温帯の森林的環境の中で、木質資源の加工技術を発達させていた可能性を検証するため、基礎的な実験研究と遺跡資料の石器使用痕分析、そして遺跡(長野県大久保南遺跡)の発掘を実施した。研究の結果、後期旧石器時代前半期に特有の刃部磨製石斧に木の伐採を示す痕跡を確認することができた。これは列島に到達した現生人類が海洋酸素同位体ステージ(MIS)3後半の森林的環境に適応し、他の地域にはない木工技術を高度に発達させていた可能性を示している。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
後期更新世後半の刃部磨製石斧は、日本だけでなくオーストラリア北部からも出土するが、その機能・用途をめぐる実験研究はまだ実施されていない。本研究の実験研究によって伐採を示す信頼可能な痕跡を明らかにし、またその成果を国際ジャーナルにて公表した。この成果は日本に限らず、諸外国における木工技術の発達史を解明する重要な手掛かりを提供する。また日本列島に到達した最初期の現生人類が他の地域にないユニークな道具(刃部磨製石斧)を木工のために発達させたことは、我々現生人類の技術的革新性・柔軟性を示す一つの例として評価できる。
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