研究課題/領域番号 |
20K13237
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03050:考古学関連
|
研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
金井 拓人 帝京大学, 付置研究所, 助教 (60779081)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
|
キーワード | 黒曜石 / 水晶 / 原産地推定 / 縄文時代 / 蛍光X線分析 / 赤外分光分析 / 黒曜石原産地推定 / 水晶原産地推定 / 縄文時代前期 / 石材の獲得 / 黒曜石製石器 / 水晶製石器 |
研究開始時の研究の概要 |
縄文時代前期後葉以降,信州の黒曜石原産地では一部で採掘が開始され,大量の黒曜石が山梨を通って関東に供給された.先行研究によると,黒曜石石器の原産地組成が石器器種ごとに異なるという遺跡の存在が報告されており,石器器種ごとに石器製作および流通の体系が異なっていた可能性が示唆されている.さらに,黒曜石流通の中継地にあたる山梨では,潤沢な黒曜石を入手できているにもかかわらず多くの水晶の利用が認められ,石器製作のための石材獲得に注力していたことが伺える. このような背景をふまえ本研究では,「石材の獲得は石器製作および石材自体の流通とどのような関係にあったか」を研究課題の問いとして設定する.
|
研究成果の概要 |
山梨地域を中心とし縄文時代前期後半(諸磯式期)の石器石材の供給を明らかにする研究を行った。黒曜石については、諸磯式期全体にわたって諏訪エリアの黒曜石が最も高い重量比率を示し、採掘活動(諸磯c期)以前から諏訪エリアの黒曜石が甲府盆地に大量に供給されていたことが明らかになった。また、甲府盆地東部や富士吉田には原石が供給されていたが、大月および八王子西部には原石が供給されていないことが明らかになった。水晶については、その原産地が山梨と長野の県境に位置する金峰山系と、甲府盆地東部の塩山系に分けられるが、縄文時代に利用された水晶はほとんどが塩山の水晶であることが明らかになった。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
山梨は黒曜石の原産地である信州と消費地である南関東の間に位置するが、これまでの縄文時代の遺物の原産地推定は限定的で、本研究によって山梨地域への黒曜石供給の姿が明らかになった。他地域では諏訪エリアの黒曜石の占有率の変化が採掘開始を境として急増する例が報告されているが、山梨では採掘以前から諏訪エリアの黒曜石の占有率が高く諸磯式期全体を通じて徐々に増加していくという他地域と異なる姿を確認することができた。さらに水晶については塩山の原産地から八ヶ岳まで移動していることが確認でき、研究成果が博物館企画展等を通じて社会に還元されるなど、水晶宝飾産業を地場産業とする山梨の水晶文化の解明に貢献した。
|