研究課題/領域番号 |
20K13238
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03050:考古学関連
|
研究機関 | 奈良県立橿原考古学研究所 |
研究代表者 |
岩越 陽平 奈良県立橿原考古学研究所, 調査部調査課, 主任技師 (60815067)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 古墳時代 / 須恵器 / 陶質土器 / 日本 / 韓国 / 様式変化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、日本の国家形成期の古墳時代において、葬送儀礼や日常生活の中で重要な役割を果たしたと考えられる須恵器の器種組成や意匠の変化に注目し、その時代的背景を考える。特に、古墳時代中期(5世紀)から古墳時代後期(6世紀)への様式変化、また、古墳時代から飛鳥時代(7世紀)という、中央政権の動態や国家体制の大きな変化の中での須恵器の様式的な変化について検討する。その中で、朝鮮半島の陶質土器の要素を取り入れた可能性がある外的な変化と、国内的な変化の両面から検討を行い、その歴史的背景を解明する。
|
研究実績の概要 |
本研究では、朝鮮半島からの技術導入により、古墳時代の日本で生産が始まり、食事や貯蔵等の日常の生活容器や、古墳における葬送儀礼の器として急速に普及していった須恵器を対象として研究を行っている。古墳時代の須恵器には、意匠や器種の構成等が様式的に大きく変化する画期がいくつか認められるが、2022年度は、特に古墳時代中期(5世紀)と古墳時代後期(6世紀)の間に認められる変化の実態と、その変化の各地への波及過程を明らかにすることを目的として、研究活動を進めた。 昨年度までは、新型コロナウイルスの影響により、出張を伴う調査の機会を制限せざるを得なかったが、本年度は西日本各地の古墳や須恵器窯跡から出土した須恵器を対象に、十数件程度の資料調査を実施した。調査を通じて、各地の須恵器の時期的な特徴や地域的な特徴を把握するともに、特に器種構成に関する各地の共通性と差異を検討した。その結果、特定器種の分布傾向から、須恵器生産地の周辺にのみ存在する器種を抽出し、須恵器を用いた古墳祭祀に関わる情報の発信や須恵器生産の拡散過程を読み解くことができた。その成果の一部として、西日本の須恵器を対象とした研究成果を考古学研究会関西例会での口頭発表で、また、近畿地方南部を対象としたものを、由良大和古代文化研究協会の紀要において公表することができた。 その他、日本全国から出土した古墳時代須恵器の最新情報の収集を継続的に進めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は新型コロナウイルスの鎮静化により、出張を伴う調査の機会を増やし、資料の実見により多くのデータを得ることができた。また、研究成果の文章化作業も進めることができた。本研究課題では、日本と韓国という国内外の資料を対象して研究を進める計画であったが、国外の資料に関する研究が遅れているものの、国内の資料に関する研究は、当初の目標まで近づいている。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は西日本のみならず、東海地方や関東地方にも対象を広げ、全国の古墳や須恵器窯跡の出土須恵器の調査を続け、データを補強するとともに得られた成果を公表していく計画である。一部は、査読雑誌へ投稿する準備を進めている。 国内の須恵器を対象とした研究や資料収集は継続的に進めているが、韓国の関連資料の収集や研究が遅れているため、2023年度はそちらにも注力していく。また、2022年度までは新型コロナウイルスの影響もあり、韓国への出張の機会が得られていなかったが、2023年度は実施する予定である。
|