研究課題/領域番号 |
20K13257
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03070:博物館学関連
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所 |
研究代表者 |
廣瀬 智子 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 企画調整部, 客員研究員 (90865411)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 博物館学 / 観覧行動 / 考古資料 / 教育普及 / 来館者調査 / 考古学 / 展示 / 博物館教育論 / 学び |
研究開始時の研究の概要 |
考古資料の展示手法が観覧者の理解にどう影響を及ぼすかに焦点をあて、観覧者の行動分析から展示活用の現状、利用者の傾向と各層のニーズを把握することを目的とする。基礎的データの集積と、各層に応じた「学び」を考案し、利用者に「遺跡」や「文化財」への親近感・関心・理解を誘発することを試みる。 学校団体、観光客、歴史ファン、レジャー目的の親子連れなど、様々な利用が認められるが、大人・子ども、歴史的関心の深浅、利用目的によってニーズが異なる。各動向を捉えた上で、学習用教材、遺跡を印象付ける仕掛け、「歴史ファン」の知識欲を満たす工夫などの「学び」を誘発する取り組みを実践し、文化財の活用について再考したい。
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研究実績の概要 |
出土遺物を主とした考古資料は、広く公開・活用されるものであり理解者の裾野の拡大が展望されるが、公開・活用の場として第一に取り上げられる展示施設において肝心の「利用者」と「考古資料」の実態について総合的に分析した事例は少ない現状にある。そうした問題意識のもと、利用者の観覧行動の調査・分析を通じて、考古資料の展示活用の現状を把握し、利用者の実態とニーズを精査・再考することを目的とする。 2023年度は、フィールドである平城宮いざない館にて過去に実施した来館者行動調査の基礎データの整理を行ないつつ、他施設における考古資料の展示手法や教育普及の事例収集に併行して取り組んだ。特に、考古資料(磚、礎石、瓦など)の単体展示および集合展示、解説パネルが来館者の興味関心を惹きつけられていない状況が、2022年度の行動調査の整理から得られた課題としてあげられるが、それらを改善すべく、ハンズオン展示と解説員との対話を重視している施設への聞き取り調査を行った。その結果、解説員の人材確保の問題や、破損の危険性から、不特定多数を対象に常時オープンにはできない事情などが課題として浮かび上がった。人員確保や解説員への指導などは、当フィールドでも困難な状況にある。そのため、当初想定していたハンズオン展示ではない別の何らかの工夫が必要であるという結論に至った。 その他、フィールドと類似した古代官衙での展示公開施設を対象に、出土資料や史跡そのものがどのような手法で紹介されているのか、パネルの解説テキスト、体験学習もしくは解説に従事するボランティアの活動実態、ワークシートやクイズ、体験学習などの教育普及、キャラクタ―の有無など、文化財活用にあたって遺跡に親しみをもってもらう取り組みについての類似点・相違点に着目して事例収集に努めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初予定していた比較検証作業が、コロナ禍の影響で数年停止していたために実施できなかった。そのため、採択期間後半(2022)から当初計画を変更し、「解説員を介さない行動」のみから得た来館者の純粋な観覧行動から導き出した課題について、他施設での教育普及の取組みの事例と照らし合わせながら「学び」の実践について検討していた。しかし、23年度の事例調査を通じてハンズオン展示が当フィールドにおいて人材的、環境的に困難な状況であることを改めて認識したことで振り出しに戻り、具体的な考案・計画にまで至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
上記の通り、当初予定していた比較検証作業が、コロナ禍の影響で数年停止していたために実施できなかったことから、採択期間後半(2022)から当初計画を変更し、「解説員を介さない行動」のみから得た来館者の純粋な観覧行動から導き出した課題について、他施設での教育普及の取組みの事例と照らし合わせながら「学び」の実践についてハンズオン展示を検討していた。しかし、23年度の事例調査を通じてハンズオン展示が当フィールドにおいて人材的、環境的に困難な状況であることを改めて認識した。今後は、その検討を重ねつつも「実践」に至らない場合、最終的には行動調査のデータを精査し「実践」に至るまでの過程を中心にデータとしてまとめていく予定である。
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