研究課題/領域番号 |
20K13264
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分04020:人文地理学関連
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
キーナー ヨハネス 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 准教授 (50825784)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 大阪 / ウィーン / ホームレス / 生活困窮者 / インナーシティ / ケアの空間 / 支援団体 / 住宅政策 / 福祉 / スケール / 福祉再編 / ホームレス支援 / 都市空間 / 生活困窮 / 大阪市 / ウィーン市 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、都市空間におけるホームレス支援の分布と当事者視点からその評価を検討するものである。生活困窮者の受け皿として発展してきたインナーシティに注目し、ホームレス政策からその役割の変化を明らかにする。大阪市とウィーン市には1990年前後にホームレス問題が顕著になり、両市とも支援制度や支援メンユーの拡大によってこの問題に積極的に取り組んできた。その中でも民間に強く頼る大阪市と、公共部門や第三セクターの役割が大きいウィーン市における福祉国家の空間形成能力を明らかにする。
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研究実績の概要 |
2023年度にはインナーシティの変容過程の実態について、大阪市内の3つの界隈(北加賀屋、中崎町、西成区北西部)から明らかにした。そのために戦前後に建設された賃貸住宅のリノベーションに分析の中心を置き、ジェントリフィケーションとの関連性を議論した。一方、テナントによるリノベーションが認められた賃貸住宅はアーティストの居住や作業場とカフェや雑貨屋などの店舗に転用されており、他方、「福祉住宅」と呼ばれた家主などによるリノベーションされた賃貸住宅は生活保護受給者の居住になった。次の理由で、このリノベーションはジェントリフィケーションと異なる現象を起こしたと考えられる。 リノベーションは認められたため、賃貸住宅の自由な利用が可能になり、アーティストのニーズに合うようになった。しかし購入が不可能で老朽した薄弱な構造の賃貸住宅なため、インセンティブが低くてリノベーションが最低限度のみで行われた。さらに、アーティストは自営業者や兼業でアートを行う経済的な弱者である。カフェや雑貨屋などの店舗に転用された賃貸住宅は店舗経営者にとって魅力的な空間であった。その空間が生かされたためリノベーションは低賃金で済み、数日間しかかからなかった傾向があった。さらに、店舗による収入が低かったため、経済的に困り兼業をした店舗経営者が多かった。それに対して、福祉住宅に転用された賃貸住宅の場合に家主は水回りを含むより高いリノベーションを行った。しかし、部屋の区切りにできたワンルームマンションの福祉住宅の居住者は生活保護を受給する傾向があり、収入が少ない者である。 このようにリノベーションによる戦前後に建設された賃貸住宅の価値が上がりづらく、入居者は低収入者なため、ジェントリフィケーションと違う現象であると判断した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2023年度に原稿の執筆で本プロジェクトが一歩前に進んだ。『Urban Geography』という国際雑誌で掲載論文による研究報告を行い、そしてSpringer Natureの原稿執筆も進んで、執筆の3分の2を完了させた。しかし、企画していたウィーン市と大阪市の現地調査は進まなかったため、進歩状況は「遅れている」と判断した。 2023年度に原稿執筆にかけた時間と、大学の運営と教育にかけた時間が予想外に多かったため、国内外で現地調査を行う余裕がなかった。その理由で、補助事業期間延長承認申請を行い、2024年度にウィーン市と大阪市で現地調査を実施することになった。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度に2023年度に実施できなかった調査を行う予定である。それは大阪市の福祉サービス担い手調査、大阪市とウィーン市の福祉サービス利用者調査、そして大阪市とウィーン市の福祉サービス担い手の追加調査である。追加調査の対象者は、ウィーン市の場合に市のホームレス支援を管理するFonds Soziales Wienの関係者と、大阪市の場合にあいりん地域の現状を把握されている西成労働福祉センターの関係者である。 更にもともと予定していた口頭報告と論文報告の一部の代わりにSpringer Natureのための原稿執筆に全力で取り組む予定である。つまり、2024年度の研究報告の一部を単著の執筆で行う予定である。
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