研究課題/領域番号 |
20K13268
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分04020:人文地理学関連
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研究機関 | 北海道教育大学 (2021-2022) 京都大学 (2020) |
研究代表者 |
熊野 貴文 北海道教育大学, 教育学部, 講師 (60865848)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 持家 / アフォーダビリティ / 近居 / 東京 / 東京都市圏 / 居住地選択 / 親―成人子関係 / 家族移動 / 居住地移動 / ジェンダー / ライフコース / インナーエリア / 性別分業 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は近年の金融緩和政策を背景とした持家取得層の拡大を踏まえ、大阪大都市圏のインナーエリアにおいて住宅を取得した核家族世帯を対象に、持家のアフォーダビリティ(特定の世帯にとって適切な負担で適切な住宅に居住できるかどうか)と家計維持戦略を明らかにする。特に家計維持戦略では、有償/無償労働にみられる性別分業の程度、親―成人子間の近居とそれに基づく互酬的支援に着目する。これにより、金融市場に媒介された大都市圏の住宅市場に関する新たな知見を提示するとともに、少産少死世代の大都市住民にみられる現代的な家族関係について検討する。
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研究実績の概要 |
本年度は近年の都市住宅市場における戸建分譲住宅の位置づけを整理する作業を行った。低金利政策の下で、東京都市圏を中心に新築の分譲マンションが高騰している。そのため中古マンションの需要が増大し、同様に価格が上昇している。さらに、マンションの場合、価格高騰に伴い一戸当たり延べ床面積も減少傾向にあり、核家族世帯向けの供給は少なくなっている。一方、戸建分譲住宅は建築費の高騰による販売価格の上昇がみられるものの、マンションに比べて価格上昇は緩やかである。さらに、小規模な敷地に高容積の住宅を建てることで床面積の広さを確保している。 また、住宅金融については、企業の資金需要が縮小する中で金融機関は安定した利益をもたらす住宅ローンの貸し出しに積極的になっている。低金利政策の下で住宅ローンが借りやすくなったことで個人向け住宅ローンの貸出残高は増加している。特に、ここ20年において若年層で負債が大きく増加している。これは比較的低収入の世帯にも持家取得が拡大していることと対応している。 さらに、本年度では東京都内で戸建分譲住宅の開発にかかる土地利用調査のほか、現地での聞き取り調査を行った。その際に、セクターによる社会経済的な居住分化を踏まえて対象地域を選定した。特に木造住宅密集地域を抱える区に対しては防災対策とミニ開発との関連についてインタビューをおこなった。例えば、荒川区は区内全域を対象に宅地の最低敷地面積を60平米に変更し、行き過ぎたミニ開発を防止している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現時点で各種統計を基に都市住宅市場の動向を整理し、特に戸建分譲住宅の位置づけを明確化した。一方で、現地調査の中で協力体制を構築している。戸建住宅取得世帯の居住地選択を明らかにするための個人を対象にしたアンケート調査の準備を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
第一に、引き続き現地調査をさらに進めていく予定である。インタビュー調査とともに、個人を対象にしたアンケート調査を企図している。 第二に、国内外の議論を積極的に摂取して、本研究の位置づけを明確にする作業を行う。
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