研究課題/領域番号 |
20K13272
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分04020:人文地理学関連
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研究機関 | 京都府立大学 (2022-2023) 京都大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
阿部 美香 京都府立大学, 文学部, 特別研究員(RPD) (80806860)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 蝦夷地 / 北海道 / アイヌ民族 / 和人 / 東西蝦夷山川地理取調圖 / 江戸末期 / 風景観 / 地名 / 江戸後期 / 東西蝦夷山川地理取調図 / 分布 / 風景 / 場所認識 / 名所案内記 / 歴史地理 |
研究開始時の研究の概要 |
先住民族が存在する地域における風景の歴史的構造を検討するという課題に対し本研究では,蝦夷地及び北海道における風景の重層性解明を目的とする。先住民族のアイヌ民族と入植者の和人,双方の視点から同地域の風景を思考することが必要であり以下を行う。1地名にあらわれたアイヌの人々の風景観を調査し,肯定的な意味等を有する地名を地図化する。分布や地形・集落との関係を検討し文化と共にその風景観の特徴を検討する 2蝦夷地に関する江戸期の地誌・案内記から,和人が各場所を何に着目し評価しているかを分析する。風景評価の着目点ごとに分類・地図化し分布の偏在傾向等と共に風景観を考察する 31・2の相違点と共通点を検討する。
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研究成果の概要 |
1、「東西蝦夷山川地理取調圖」の蝦夷地部分に記される全ての地名9366の中から肯定的な意味の付く地名182を選出し分布図を作成した結果、和人が認識・使用した道や,運上屋等の交易に関わる場所から離れた場所にも,アイヌの人々が特別視したと考えられる場所は存在した。 2、蝦夷地に関する案内記『蝦夷行程記』から、和人の蝦夷地各地への場所認識を分析し,和人が蝦夷地各所を評価する際の指標には,1産物の有無への着目、2その場の風景や眺めへの賞賛・繁昌地への着目、3、通行に関する視点等があった。 3、北海道十勝地方で現地調査を行い、アイヌ民族の方々から,営みがつくり出す風景に関わるお話を伺うことができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
まず第一に、本研究の学術的意義の一つ目は、アイヌ民族の風景観という視点でアイヌ民族と江戸末期の蝦夷地の関係を読み解き、さらに和人との関係性を考察する作業から、歴史地理学と歴史学、文化人類学、民俗学等を架橋しうることにある。学術的意義の二つ目は、具体的なアイヌ語地名とその地名の存在する場所を、アイヌの人々による評価という視座から考えることで、これまで提示されてきたアイヌの人々の自然観等に加え、風景への見方という新たな価値観を検討する素地を与えられることである。また、アイヌの人々の風景への価値観を社会に示すことは、アイヌ民族への理解を社会の中で深める助けとなり、大きな社会的意義を有する。
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