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東アジアの先住民工芸とオーサーシップをめぐる人類学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K13276
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分04030:文化人類学および民俗学関連
研究機関成城大学 (2022-2023)
北海道大学 (2020-2021)

研究代表者

田本 はる菜  成城大学, 文芸学部, 専任講師 (20823800)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
キーワードクラフト / 先住民 / オーサーシップ / 台湾原住民族 / エスニック・マーケティング / 文化産業 / 東アジア / 文化創意産業 / エスニック ・マーケティング / 工芸 / 台湾
研究開始時の研究の概要

本研究は、台湾原住民の手工芸実践において、技能や作品をめぐるオーサーシップがどのように形づくられているのかを、近隣諸外国にまたがる制作や流通についての民族誌的調査から明らかにするものである。多様なアクターの協働から作品が生み出され、その帰属が定められる一連の過程から工芸のあり方を理解することにより、専ら制作という局面を強調してきた現象学的人類学の技術論を拡張し、今日の先住民の工芸・芸術をより包括的に捉える枠組みを構築することが本研究の目的である。

研究実績の概要

本研究は、今日の台湾先住民族の手工芸実践において、技能や作品をめぐるオーサーシップがどのように形づくられているのかを、近隣諸外国にまたがる布製品の制作と流通についての民族誌的調査から明らかにするものである。
前年度までに引き続き、オーサーシップに関する文献研究を進めるとともに、台湾でのフィールド調査を実施した。具体的には、(1)台北市で開催された「全国原住民族運動会」など、行政主催の文化行事における民族衣装の着用状況の調査、これに伴う服飾品売買の様子について調査を行うことができた。(2)昨年に引き続き、台北市内の大規模な布市場での観察と聞き取り調査を実施した。先住民族の手工芸従事者のみならず、布と布製品の卸売に携わる漢民族にインタビューを行い、いわゆる「民族風」という服飾品のスタイルが先住民族と漢民族との協働から生み出されている点について情報を得ることができた。(3)台湾における先住民族の知的財産権(「原住民族伝統智慧創作保護条例」)の運用に関して、先住民族による権利申請と認定、その後の展開についての新たなデータを収集することができた。これはオーサーシップの画定について考察する上で有用な情報である。
成果公表という点では、本研究における文献研究の成果を含む単著論文を『文化人類学』誌に発表することができた。また台湾で行われた国際会議において口頭発表を行い、現地の研究者との意見交換を行うことができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度も、当初予定していた中華人民共和国での調査が引き続き困難であり、台湾でのフィールド調査が中心となった。ただし、台湾調査において、先住民族の知的財産権(「原住民族伝統智慧創作保護条例」)の運用に関する新たなデータを得ることができたこと、その内容をこれまでの文献研究と関連づけて考察する道筋が見えてきたことから、おおむね順調に進展しているといえる。

今後の研究の推進方策

2024年度も、①台湾先住民族の手工芸環境の変化と政策的背景の解明、②服飾品制作と流通についてのフィールドワーク、③民族誌記述と分析概念の構築のための理論研究を行う予定である。また本年度は最終年度となるため、これまでに収集した民族誌的データの整理と分析を進め、口頭発表や論文の形で成果公表を行う。ただし、当初予定していた中華人民共和国でのフィールド調査は引き続き困難と予想されるため、台湾における先住民族の知的財産権(「原住民族伝統智慧創作保護条例」)の運用に関する新たなデータを含め、台湾で収集したフィールドデータを中心に分析と考察を進める。

報告書

(4件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 2020 実施状況報告書
  • 研究成果

    (24件)

すべて 2024 2023 2022 2021

すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 5件、 招待講演 4件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] 台湾先住民セデックと三つの織り機2024

    • 著者名/発表者名
      田本はる菜
    • 雑誌名

      季刊民族学

      巻: 48 ページ: 96-104

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] オーセンティシティを成形する2023

    • 著者名/発表者名
      田本 はる菜
    • 雑誌名

      文化人類学

      巻: 88 号: 3 ページ: 486-504

    • DOI

      10.14890/jjcanth.88.3_486

    • ISSN
      1349-0648, 2424-0516
    • 年月日
      2023-12-31
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 読まない文字を織り込む 戦後国民党統治下の山地と布装飾の変容2023

    • 著者名/発表者名
      田本はる菜
    • 雑誌名

      第16回台日原住民族研究論壇 会議手冊

      巻: (16) ページ: 50-61

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 書評・本の紹介『都市残酷』2022

    • 著者名/発表者名
      田本はる菜
    • 雑誌名

      台湾原住民研究

      巻: 26 ページ: 227-231

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 書評 Ayami Nakatani (ed.), 2020. Fashionable Traditions: Asian Handmade Textiles in Motion2021

    • 著者名/発表者名
      田本はる菜
    • 雑誌名

      年報人類学研究

      巻: 12 ページ: 285-290

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 手工芸開発を出入りする:台湾原住民の織物支援をめぐる協調、対立、無関心2021

    • 著者名/発表者名
      田本はる菜
    • 雑誌名

      アイヌ・先住民研究

      巻: 1 ページ: 145-172

    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 書評 Ayami Nakatani (ed.), 2020. Fashionable Traditions: Asian Handmade Textiles in Motion. London: Lexington Books, x+305pp2021

    • 著者名/発表者名
      田本はる菜
    • 雑誌名

      年報人類学研究

      巻: 12

    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 〈歓待と台湾原住民族〉を考える2024

    • 著者名/発表者名
      田本はる菜
    • 学会等名
      「現代アジア・オセアニアにおける他者への想像力と歓待の実践知に関する人類学的研究」第2回研究会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 先住民の伝統知識と持続的発展 台湾の取り組みから2024

    • 著者名/発表者名
      田本はる菜
    • 学会等名
      東京都市大学世界展開力強化事業 第2回シンポジウム
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 「読めない布」から「読む布」へ? 台湾先住民と布装飾の視覚言語化をめぐって2023

    • 著者名/発表者名
      田本はる菜
    • 学会等名
      成城大学民俗学研究所所員例会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 読まない文字を織り込む:戦後国民党統治下の山地と布装飾の変容(織入不做解釋的文字:戰後國民黨統治下的山地與布織裝飾的變化)2023

    • 著者名/発表者名
      田本はる菜
    • 学会等名
      第16回台日原住民族研究フォーラム
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 知識を囲い込みながら開く 台湾先住民の知的財産とオープンソース化2023

    • 著者名/発表者名
      田本はる菜
    • 学会等名
      慶應義塾大学東アジア研究所創立20周年記念公開シンポジウム
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 台灣原住民族編織工藝中 「文字織紋」再探討2023

    • 著者名/発表者名
      田本はる菜
    • 学会等名
      川流與溯源 2023 年政治大學USR 永續發展國際研討會
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 「のようなもの sort of something」としての民族衣装2023

    • 著者名/発表者名
      田本はる菜
    • 学会等名
      装いの境界領域に関する人類学的研究・第3回研究会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 機械布が生む「本物らしさ」? :台湾セデック族の服飾品製作と「プリント化」のゆくえ2022

    • 著者名/発表者名
      田本はる菜
    • 学会等名
      日本文化人類学会第56回研究大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 北海道大学総合博物館における台湾原住民族ポスター展2022

    • 著者名/発表者名
      山﨑幸治・田本はる菜・村上智見
    • 学会等名
      第15回台日原住民族研究フォーラム
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] エスニック・アートの「作者」は誰か?:台湾原住民族の織物、熟練、オーサーシップ2022

    • 著者名/発表者名
      田本はる菜
    • 学会等名
      慶應義塾大学人類学研究会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] Politicization and Reinvention of Indigenous Textiles among the Seediq in Taiwan2021

    • 著者名/発表者名
      Haruna Tamoto
    • 学会等名
      The 17th & 18th Annual Conference of European Association of Taiwan Studies
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 読めない文字を織り込む:台湾セデック族の布装飾の視覚言語化をめぐって2021

    • 著者名/発表者名
      田本はる菜
    • 学会等名
      民族藝術学会第37回大会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 読めない文字を織り込む:台湾セデック族の布装飾の視覚言語化をめぐって2021

    • 著者名/発表者名
      田本はる菜
    • 学会等名
      民族藝術学会
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [学会発表] Politicization and Reinvention of Indigenous Textiles among the Seediq in Taiwan2021

    • 著者名/発表者名
      Haruna Tamoto
    • 学会等名
      The 17th&18th Annual Conference of European Association of Taiwan Studies
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [図書] クリティカル・ワード ファッションスタディーズ2022

    • 著者名/発表者名
      蘆田裕史、藤嶋陽子、宮脇千絵、赤阪辰太郎、朝倉三枝、有國明弘、五十棲亘、小澤京子、落合雪野、香室結美、川崎和也、菊田琢也、北村匡平、高馬京子、西條玲奈、鈴木彩希、関根麻里恵、髙橋香苗、田中里尚、田本はる菜、中谷文美、難波優輝、新實五穂、野中葉、平田英子、平芳裕子、水野大二郎、南出和余、村上由鶴、劉芳洲
    • 総ページ数
      292
    • 出版者
      フィルムアート社
    • ISBN
      484592109X
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [図書] 山地のポスト・トライバルアート2021

    • 著者名/発表者名
      田本 はる菜
    • 総ページ数
      332
    • 出版者
      北海道大学出版会
    • ISBN
      9784832968684
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [図書] モノとメディアの人類学2021

    • 著者名/発表者名
      藤野 陽平、奈良 雅史、近藤 祉秋、堀田 あゆみ、アルベルトゥス=トーマス・モリ、小林 宏至、市野沢 潤平、大道 晴香、田本 はる菜、塚原 伸治、吉田 ゆか子、飯田 卓、櫻田 涼子、高山 陽子、久保 明教、原 知章
    • 総ページ数
      280
    • 出版者
      ナカニシヤ出版
    • ISBN
      9784779515484
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2020-04-28   更新日: 2024-12-25  

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