研究課題/領域番号 |
20K13277
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分04030:文化人類学および民俗学関連
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研究機関 | 天理大学 |
研究代表者 |
松岡 薫 天理大学, 文学部, 講師 (90824350)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 俄 / 民俗芸能 / 演技 / 創造性 / 即興性 / 大衆芸能 / 北部九州 / 大衆演芸 / 共同体 / 熊本 / 長崎 / 芸能伝承 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、演技の一回性・即興性を特徴とする俄(にわか)という民俗芸能を対象としたフィールドワークを実施し、演者と観客のやり取り、演技に対する評価のあり方、演技の制作過程などに注目して、「見る-見られる」関係と演技の創造性との具体的な相互関係を考察する。さらに、上記の考察を一般化するために、岐阜県美濃市、熊本県阿蘇郡高森町、長崎県新上五島町有川郷の3地域で調査を実施し、複数の民俗芸能の比較検討を通してより汎用性の高いモデルを構築する。
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研究実績の概要 |
本研究は、「民俗芸能の演技がいかに創造されているのか」という問いに対し、演技の一回性・即興性を特徴とする俄(にわか)という民俗芸能を対象としたフィールドワークを実施し、演者と観客のやり取り、演技に対する評価のあり方、演技の制作過程などに注目して、「見る-見られる」関係と演技の創造性との具体的な相互関係を考察することを目的とする。 本年度は、祭りを再開するところもあり、予定していた熊本県阿蘇郡高森町の風鎮祭において現地調査を行うことができた。昨年度までの研究成果によって、俄の場合、題材、筋立て、台詞をローカルな文脈に置くことの重要性が明らかになったため、本年度は演者たちが好んで選択する題材や、良いと評価される演技の特徴について特に注目し調査を行った。この点については、現代民俗学会第66回研究会「民俗芸能とヴァナキュラー芸能のあいだ」において、「俄はヴァナキュラー芸能なのか?―熊本県南阿蘇地方の俄から考える―」と題する口頭発表を行った。この発表では、青年たちが身近な話題や出来事をどのように組み合わせながら演目を作り上げ、それを演じることで自分たちの俄を獲得しているのか、その制作プロセスを検討した。 また、本年度の風鎮祭では地域住民に交じって外部の者が役者として舞台に上がる様子が見られた。外部の者を交えた演技に対する住民たちの反応については、「見る―見られる」関係から、民俗芸能の演技を捉え直すという本研究の課題への重要なデータであり、具体的な分析・考察については次年度への課題としたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度夏以降、徐々に祭りが再開され、現地調査に対する規制も緩和されるようになった。それにより、計画していた祭礼調査のうち熊本県阿蘇郡高森町での調査が実施できた。この調査成果および研究成果については「研究実績の概要」で述べたとおりである。 また、次年度が最終年度にあたるため、研究成果の報告にむけたデータの整理を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は本科研の最終年度にあたるため、成果報告に重点を置きたい。 具体的には、日本民俗学会や説話・伝承学会の年次大会での口頭発表を予定している。また、俄の演目内容(題材、登場人物、粗筋)や演技中の台詞や所作、「落とし」と呼ばれる締めの言葉(落語のサゲにあたる、掛け言葉)を事例に、民俗芸能の創造性に関する研究論文を執筆し、学会誌や所属機関の紀要に発表する予定である。
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