研究課題/領域番号 |
20K13287
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分04030:文化人類学および民俗学関連
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研究機関 | 熊本大学 (2021-2022) 慶應義塾大学 (2020) |
研究代表者 |
下田 健太郎 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部附属国際人文社会科学研究センター, 准教授 (90823865)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 水俣 / 景観 / もやい / 自然環境 / 生存 / 痛み / 歴史生態学 / 環境人類学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、水俣病を生き抜いてきた人びとが、汚染された海をはじめとする自然との関係を結び直すために試みてきた諸実践を、水俣湾沿岸域における人と自然環境の関係史に光を当てながら明らかにすることをめざす。そのうえで、水俣・芦北地域において繋がり・結びつきをつくることや共同で何かを為すことを意味する「もやい」概念が、人為的な災害を生き抜くという経験を未来に活かしていく上でいかなる意義を持ちうるかについて考察する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、水俣病を生き抜いてきた人びとが、汚染された海をはじめとする自然との関係を結び直すために試みてきた諸実践を、水俣湾沿岸域における人と自然環境の関係史に光を当てながら明らかにすることである。 本年度は新型コロナウイルスの動向をみながら、可能な範囲でフィールドワークを実施するとともに、歴史生態学や環境人類学分野における先行研究のレビュー、および現地の人びとによる自然との新たな関係構築に向けた諸実践の意義の検討に力を注ぎ、その成果を国際会議等で発表した。主な成果は下記の通りである。 第一に、東義大学校東亜細亜研究所(韓国)の叢書に論文を寄稿するとともに、東義大学校で行われた先方主催の国際学術セミナーへの招待を受け、水俣で試みられてきた「もやい(舫い)」の実践がいかなる意義をもちうるかということに関する考察を発表した。 第二に、水銀に汚染された魚たちや、水俣湾埋立地に育った「実生の森」の木々といった(生き)ものを介して紡ぎ直され続けている水俣病経験の語りを検討し、その過程で様々な対立を乗り越えていくための生き方が模索されてきていることを指摘した。 第三に、「本願の会」が水俣で発行している機関紙(『魂うつれ』)の編集者の一人として、現地の方々と協働しながら、様々な対立を乗り越えていくための生き方の模索(「水俣から『第三の道』を発想する」)をテーマとした『魂うつれ』第78号(2022年5月発行)の編集に携わり、編集後記を執筆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルスの影響により本格的なフィールドワークの実施は叶わなかったが、これまでの現地調査で得た資料の分析、そして現地の方々との協働によって、複数の成果を公表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの現地調査で得た資料の分析とともに、熊本県の水俣・芦北地域における現地実態調査と文献資料調査を継続する。その上で、水俣病と共に生きる人びとが汚染された海・生きものとの関係をいかに結び直してきたのかという点についての検討を進め、「もやい(舫い)」の実践がもちうる意義を多面的に考察していく。
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