研究課題/領域番号 |
20K13288
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分04030:文化人類学および民俗学関連
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
左地 亮子 (野呂) 東洋大学, 社会学部, 准教授 (50771416)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | ジプシー/ロマ / ペンテコステ派 / キリスト教 / 文化人類学 / マヌーシュ / フランス / 宗教 / 共同体主義 / 改宗 / マイノリティ / ジプシー / ロマ / 市民社会 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、マイノリティの宗教実践を共同体主義として警戒する声が高まるフランス社会において、ジプシー・ペンテコステ運動を例に、マイノリティの宗教実践が、主流社会が標榜する普遍主義とせめぎ合いつつ、共鳴する側面を解明する。教義理解だけでは捉えきれない宗教実践の具体的現実を明らかにすべく、移動集会における人々の交わりと交渉、一般信者の実践と解釈を民族誌的調査により調べ、新宗教運動がどのような点で現実の不平等や困難に対するジプシー側からの反応であるのか、また移動式の宗教実践がどのように普遍主義と対置させられる民族共同体ではなく、多様な市民たちと共在する公共圏を模索するのかという問いを検証する。
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研究実績の概要 |
本研究は、マイノリティの宗教実践を共同体主義として警戒する声が高まるフランス社会において、ジプシー・ペンテコステ運動を例に、マイノリティの宗教実践が、主流社会が標榜する普遍主義とせめぎ合いつつ、共鳴する側面を解明することを目的とする。 本年度は、夏季にフランスにて長期間の現地調査を実施し、フランスのジプシー福音宣教会が開催する全国大会にて参与観察と聞き取り調査を行った。コロナ禍の期間に中断されていたこの大規模集会を調査することで、フランスのジプシー・ペンテコスタリズムに関する最新の情報を得ることができた。また、大規模集会以外にも、マヌーシュを始めとするジプシー信徒の居住地を訪問し、信仰をめぐる日常的な実践や語りに関する情報を収集した。 これら現地調査と並行して、学会全国大会において研究課題に関わる発表を行った。さらに、これまでの研究の集大成となる論文を学会誌に投稿した。 コロナ禍で現地調査を行うことができない期間が続いたもの、研究期間4年目を終えて、本研究課題を解明するための情報と分析が大方そろった。世俗化するフランス社会においてジプシー・ペンテコステ運動は、独自の信仰と共同体に閉じこもるセクトとして捉えられてきたが、この見方は、ジプシー福音宣教会が主催する全国集会や移動集会に対する報道や一般市民の反応から確認できた。さらにコロナ禍を受けてこの宗教運動が、「市民社会に対立する共同体主義」の汚名をかぶる状況が一層強化された事実が判明した。だがその一方で、ペンテコステ派信徒の信仰実践や神との関係をめぐる語りを調べることで、信徒が民族を超えたキリスト者としての自己、キリスト教の「普遍」を強調する様子も明らかになり、フランス主流社会とペンテコステ派ジプシー信徒の間に横たわる視点や理解の差異が露わになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は予定していた3月の現地調査ができなかったものの、2度の渡仏により、研究の成果をまとめるために必要な情報の大部分を得ることができ、研究の集大成となる論文も準備することができた。
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今後の研究の推進方策 |
24年度は、補足調査を行い、学会誌投稿論文を完成させ、成果を広く公表する予定である。
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