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東部スマトラにおける民族の分枝・存続に関する比較研究:資源利用と生業選択を通して

研究課題

研究課題/領域番号 20K13293
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分04030:文化人類学および民俗学関連
研究機関金沢大学 (2022-2023)
総合地球環境学研究所 (2020-2021)

研究代表者

大澤 隆将  金沢大学, GS教育系, 講師 (40795499)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
キーワードスマトラ / インドネシア / 熱帯泥炭地 / エスニシティ / 先住民 / 生業 / エスノ・ジェネシス / 資源利用 / 文化人類学 / 資源 / オラン・アスリ / 生業選択
研究開始時の研究の概要

本研究は、東部スマトラに暮らす諸民族集団がどのように形成されたかを探るものである。東部スマトラの民族集団は、この地域の歴史的な多数派であるマレー人と政治・商業・文化的に密接に交流してきた歴史的背景がありながら、独自の民族集団としての立場とアイデンティティを有している。このように彼らの立場とアイデンティティが分化し維持されてきた理由は、特に国家の管理下における生業の選択と資源の利用方法の違いにあると考えられる。この地域を専門とする文化人類学者および歴史学者と協力をしながら比較研究を行い、この理由を深く探るのが目的である。

研究実績の概要

本研究は、インドネシアの東部スマトラに暮らす諸民族集団の文化・歴史に関する比較研究を通して、東南アジアにおける民族の分枝・形成と維持・存続の歴史過程を追究するものである。2023年度の研究活動は、これまでの現地調査を基にした文献研究、インドネシア国リアウ州において短期の現地調査、また1件の国際セミナー・ワークショップを主催した。
まず、文献研究については、インドネシア国リアウ州を流れるカンパール川中流域の沿岸部に暮らす先住民集団プタラガンの人びとの生業に焦点を当て、彼らの生活空間である熱帯泥炭地帯をフロンティア空間の概念と結び付けながら、分析を行った。この成果は、国立民族学博物館の共同研究の成果本である共編著書籍に採録される予定である(2024年度中に公刊予定)。
次に、現地調査については、2024年2月末から3月半ばまでの2週間にわたり、リアウ州での現地調査を行った。この出張では、カンパル川流域のプタラガンの人びとが暮らすランタウ・バル村と、同州ベンカリス島のスク・アスリの人びとが暮らすスカ・マジュ村を訪れ、聞き取り調査を行った。
2024年3月には、プタラガンの共同体で新慣習長に就任した人物と、現地パートナーである現地NGOの代表をスピーカーに迎え、研究者向けの国際セミナー/ワークショップ(オンライン)を開催した。この中で、プタラガンの人びとの暮らしと将来の見通しについて、より詳細な話を聞くことができた。
なお、2023年度における本研究課題と関連した研究業績は、国内研究会での研究発表1件と国際セミナー/ワークショップの主催が1件であった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2020年4月の採択直後にコロナ・パンデミックに見舞われ、一昨年夏まで本研究の核となる現地調査や共同研究を十分に行うことができなかった。それ以降、アメリカの研究者との面会打ち合わせと短期間の現地調査を行った。しかしながら、採択時に所属していた総合地球環境学研究所の任期終了や金沢大学国際基幹教育院への採用といった所属や本務の変化が重なったため、当初予定していた国際会議を開催できなかった。さらに、本年度は、育休を取得予定であり、特に現地調査に従事するための十分な時間を確保できていない。このような理由で、当初の予定より遅れた形で進行している。
いっぽうで、これまでの現地調査を文献研究を用いて発展させる研究については、順調に進行している。2023年の3月には共編著書籍であるLocal Governance of Peatland Restoration in Riau, Indonesia: A Transdisciplinary Analysis(Springer)を公刊した。このなかでは、カンパル川の沿岸の一集落であるランタウ・バル村に暮らす先住民プタラガンの人びとの生業としての漁業、土地空間利用、また歴史的な国家や周辺集落との関係性について民族誌的研究を行った。また、本年度中に、上述したフロンティア空間とプタラガンの人びとの土地空間利用に焦点を当てた研究が、共編著書籍として公刊される予定である。
これに加え、本科研費を利用して、国内・国際学会の発表を7回行っている。この中では、上記のプタラガンの他、同リアウ州で暮らすアキットやスク・アスリの人びとのエスニシティに焦点をあてた研究の発表を行った。本研究課題の主題である生業や資源利用との関係性のみにとどまらず、その他の要素である宗教や生活空間との関係性についても考察を行った。

今後の研究の推進方策

最終年度となる本年度の研究の目標は大きく2つある。1つ目は、当初の研究予定の目玉であった国際会議を開催することと、2つ目はこれまで積み重ねてきた研究を統合させる方向に向かうことである。
当初より予定していた国際会議の開催は、2月末から3月をめどに開催する予定である。具体的なスケジュールとしては、8月中に国際会議の付託条項(Terms of Reference, ToR)を作成し、インビテーションとともに参加予定者にサーキュレートする。8月から12月までは、現地のカウンターパートとなるリアウ大学および現地NGOとの調整を行い、2月から3月に開催する予定である。
これに加えて、プタラガン、スク・アスリ、アキットの人びとに関してこれまで行ってきた研究内容を総合し、国際会議で得られた成果と統合していく予定である。国際会議の呼びかけの過程でプタラガンやスク・アスリ、アキットの研究の総括を行い、この内容を国際会議後にそこで得られた成果と統合する。この作業を3月一杯をめどに完了させそれを中間報告とする。来年度以降に、この内容を深化させた形で論文や書籍の公刊を目指す。

報告書

(4件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 2020 実施状況報告書
  • 研究成果

    (19件)

すべて 2024 2023 2022 2021 2020 その他

すべて 国際共同研究 (3件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 4件、 招待講演 10件) 図書 (1件) 学会・シンポジウム開催 (1件)

  • [国際共同研究] Riau University/Ara Sati Hakiki (現地NGO)(インドネシア)

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [国際共同研究] リアウ大学(インドネシア)

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [国際共同研究] Universitas Riau/Hakiki Foundation(インドネシア)

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 「先住民、華人、イスラム教徒: スマトラ島東部沿岸に暮らすスク・アスリ社会におけるエスニシティのダイナミズム 」2024

    • 著者名/発表者名
      大澤隆将
    • 学会等名
      「空間統治と民族関係の人類学」(東京外国語大学 アジア・アフリカ言語文化研究所、共同利用・共同研究課題研究会)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 「『先住民』になる:東部スマトラの沿岸部に暮らすスク・アスリの先住民性について」2023

    • 著者名/発表者名
      大澤隆将
    • 学会等名
      第169回北陸人類学研究会例会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 「インドネシア・リアウ州の熱帯泥炭地における氾濫原保護区の設定についての超学際的研究」2023

    • 著者名/発表者名
      大澤隆将, 中川光
    • 学会等名
      令和4年度GCR年次研究成果発表会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 「先住民と華人によるマングローブの利用:リアウ州沿岸部の事例」2022

    • 著者名/発表者名
      大澤隆将
    • 学会等名
      インドネシア研究懇話会(KAPAL)第4回研究大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 'Transdisciplinary approach to the peatland problem: A case in Riau'2022

    • 著者名/発表者名
      Takamasa Osawa
    • 学会等名
      International Conference on Sustainability Science and Development Innovation, Andalas University
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 「慣習領域におけるフロンティア化のダイナミズム:スマトラの泥炭地の例を通して」2022

    • 著者名/発表者名
      大澤隆将
    • 学会等名
      国立民族学博物館共同研究「統治のフロンティアをめぐる人類学」研究会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] Rantau Baru sebagai Masyarakat Adat: Sejarah, Pemetaan Partisipatif, dan Hukum-hukum terkait2022

    • 著者名/発表者名
      Takamasa Osaw, Akhwan Binawan
    • 学会等名
      Melestarikan Ekosistem Hutan Gambut dan Perairan di Riau: Studi Kasus Pelalawan dan Sungai Kampar
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 地図を編み歴史を記す:インドネシアにおける先住民権、環境保護、NGO活動2021

    • 著者名/発表者名
      大澤隆将
    • 学会等名
      「NPO論」、地域創造学科カリキュラム、奈良県立大学
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 「厄介な問題」と泥炭政策:草の根的手法の限界と可能性2021

    • 著者名/発表者名
      大澤隆将
    • 学会等名
      総合地球環境研究所プログラム1セミナー
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 「熱帯泥炭地の資本による領域化;インドネシア、リアウ州の一村落における土着性の相克」2021

    • 著者名/発表者名
      大澤隆将
    • 学会等名
      第55回日本文化人類学会研究大会、パネル「現代世界におけるフロンティア空間の動態」
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 「熱帯泥炭地の資本による領域化;インドネシア、リアウ州の一村落における土着性の相克」2021

    • 著者名/発表者名
      大澤隆将
    • 学会等名
      国立民族学博物館共同研究課題「統治のフロンティア」研究会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] Online interview, land recognition and Local knowledge2021

    • 著者名/発表者名
      Takamasa Osawa
    • 学会等名
      International workshop of the governance group, Peatland Society Project
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Collaborative Research in a Fishing Village around Tropical Peatland in Riau, Indonesia2021

    • 著者名/発表者名
      Akhwan Binawan, Takamasa Osawa
    • 学会等名
      ASEAN Research Platform Annual Meeting FY 2020/21
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 「スク・アスリの先住民性と宗教選択」2020

    • 著者名/発表者名
      大澤隆将
    • 学会等名
      インドネシア研究懇話会(KAPAL)第二回研究大会
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [図書] Local Governance of Peatland Restoration in Riau, Indonesia: A Transdisciplinary Analysis2023

    • 著者名/発表者名
      Masaaki Okamoto, Takamasa Osawa, Wahyu Prasetyawan, Akhwan Binawan
    • 総ページ数
      335
    • 出版者
      Springer Singapore
    • ISBN
      9789819909025
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会・シンポジウム開催] The seminar/workshop of the GCR project: "Transdisciplinary research on the establishment of floodplain-forest reserve in Riau, Indonesia"2024

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2020-04-28   更新日: 2024-12-25  

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