研究課題/領域番号 |
20K13301
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分05010:基礎法学関連
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
米村 幸太郎 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 准教授 (00585185)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 中立性 / リベラリズム / グローバル化 / 卓越主義 / 多文化主義 |
研究開始時の研究の概要 |
リベラリズムは「異なる善き生の構想に対し、国家は中立的でなければならない」と主張してきた。本研究は、この中立性の要請の理論的根拠と射程を再検討し、グローバル化に伴う社会の多元化の進行に対して中立性が有する含意を明らかにする。中立性の要請自体は広く受容されているが、一方でその定式化、根拠、含意は不明確なままにされてきた。本研究では、中立性に関する既存の定式化と正当化を批判 した上でより的確な定式化を析出・正当化し、中立的な国家は宗教、文化をはじめとする多様な善き生の構想に対しいかに振舞うべきかを、宗教的免除(exemption)や言語政策といった具体的文脈に即して明らかにする。
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研究成果の概要 |
本研究の目的は、異なる善き生の構想に対し国家は中立的でなければならないという中立性の要請の理論的根拠を再検討し、グローバル化という現代的状況に対して中立性が有する含意を明らかにすることにあった。中立性と一定の卓越主義との両立を試みているクレイマーの鼓吹的卓越主義を検討した上で、それが抱えている哲学的難点を明らかにし、代替的構想として、セシル・ラボルデの議論を参照しつつ、中立性についての分解アプローチを提示した。これによれば、中立性は実のところ単一の規範的原理というよりも複数の規範的要請の束であり、そうした規範的要請を充足しているならば、卓越主義的政策は許容されると論じた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
リベラリズム自体については、国内外ともに膨大な研究が存在する。だが中立性概念を主題として論じるものは国内にはほぼ存在しないといってよく、本研究はその欠落を埋める意義がある。さらに、芸術やスポーツへの助成のような卓越主義的な政策、喫煙規制のようなパターナリスティックな政策と、リベラリズムが両立可能なのか、というごく身近な実践的論点にも、本研究関連性を有する。さらに移民政策のようなグローバルな文脈における中立性への含意を考察するものは国際的にも少なく、その意味でこの研究には意義があると考える。
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