研究課題/領域番号 |
20K13305
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分05010:基礎法学関連
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
高橋 脩一 専修大学, 法学部, 准教授 (80749614)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 民事訴訟記録 / 訴訟の役割 / 訴訟記録へのアクセス / 裁判手続のIT化 / アメリカ / 民事訴訟制度 / 紛争解決 |
研究開始時の研究の概要 |
近年我が国では「裁判手続のIT化」が議論されており、オンラインでの申立てなどが検討されている。こうして電子的に作成された訴訟記録へのアクセスは如何にあるべきなのか。IT化された訴訟記録にオンラインを通じて第三者がアクセスすることに対しては、これまでの紙ベースでの訴訟記録の閲覧とは異なる扱いがなされるべきなのか。 こうした問題を念頭に本研究は、米英との比較法的アプローチにより、誰に対し、どのような訴訟記録に、どのようなアクセスを認めるべきなのか、具体的な検討を行う。それだけでなく、裁判の役割やプライバシーといった要素の意味を再検討し、それらの関係性のあるべき姿についても検討する。
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研究実績の概要 |
当該研究課題に対しては、特にアメリカ法に関する分析について、すでに十分な成果を上げている(これまでに、専修ロージャーナル第16号に「アメリカ合衆国における民事訴訟記録の公開とその意義に関する覚え書き-近年の密封を巡る連邦控訴裁判所判例の考察を中心に-」117-148頁(2020年)を掲載し、それに加えて我が国におけるアメリカ法に関する主要学会である日米法学会のシンポジウム『裁判手続とIT化――情報開示と個人情報保護』において「オンラインを通じた第三者による民事訴訟記録閲覧制度の法的根拠に関する日米比較」と題する発表を行い、その内容を活字化した「オンラインを通じた第三者による民事訴訟記録閲覧制度の法的根拠に関する日米比較」を同学会の学会誌であるアメリカ法2020-2号の198-210頁に掲載している)けれども、2022年度はイングランドの文脈において、当該研究課題である「裁判手続のIT化と民事訴訟記録へのIT技術を通じたアクセスのあり方」につき、特に民事訴訟記録へのアクセスに関する問題についての同国の判例理論を、近年連合王国最高裁判所で下された判決を手がかりとして分析を行った。その結果として、2021年度までの分析で得られたアメリカとの考えの違いを浮き彫りとするような論文を執筆し、専修法学論集に掲載するに至っている(「イングランドでの民事訴訟における裁判文書へのアクセス:近年の最高裁判決を起点として」専修法学論集第147号209-254頁(2023年))。このように、上記研究課題に対しては2022年度までの研究によってすでに十分な成果を出しているといえるが、上記論文に結実したイングランド判例の検討から新たに表出した問題について現在さらなる分析を行っており、2023年度中を目標としてさらなる成果を出すことを目指している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述のように、当初計画した研究課題である「民事訴訟記録へのアクセス」に関して、アメリカおよびイングランドにおけるその現状を分析する論文をすでに公表しており、当初予定していた成果を出すことが出来たので、概ね順調に進んだといえるだろう。こうした成果に至る研究の過程で当初は計画していなかった新たな問題が生じてきており、当初計画していた以上の成果を出すべく、現在その問題の分析を行っているところである。
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今後の研究の推進方策 |
上述のように、これまでの研究において、当初計画していた研究課題については一定の成果を出すことが出来た。しかし、その研究過程において、当初は計画していなかった新たな問題が生じてきてきた。今後は、当初計画していた以上の成果を出すべく、その新たに生じた問題に関して着実に研究を積み重ね、成果を公表できるようにしたいと考えている。
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