研究課題/領域番号 |
20K13308
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分05010:基礎法学関連
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研究機関 | 四天王寺大学 |
研究代表者 |
後藤 弘州 四天王寺大学, 経営学部, 講師 (40844494)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 贈与 / 死因贈与 / 相続 / ローマ法 / 握取行為遺言 / 西洋法制史 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、古典期ローマの相続法における贈与の役割を明らかにすることを目的とする。相続において贈与が重要な役割を果たすことは周知のことであるが、古典期ローマにおいて。贈与が具体的にどのような役割を果たしたかということに関しては。これまで必ずしも明らかではなかった。そこで死因贈与を含む贈与に関するローマ法文を検討することを通じて、古典期ローマの相続における贈与のより具体的な役割を明らかにすることを目指す。
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研究実績の概要 |
最終年度である本年は、前年度に発表した論文中で今後の課題としていた、古代ローマにおける贈与の撤回に関する考察に取り組んだ。一般的に「ローマ法において」と述べられてる場合においては、ユスティニアヌス帝の学説彙纂においては、古代ローマにおいて贈与の撤回は当然のごとく認められていたかのような印象を持たれることもあるが、実際には古代ローマにおける贈与の撤回の発展史に関しては、特に忘恩行為との関係で大きく二つの考えが存在していた。民法研究の分野において、ローマの撤回について述べる際にこのことが明確に述べられていない文献が多いこともあり、改めてその二つの考えについて考察を加えた。最終的に、もともと贈与の撤回自体が認められていなかったものが、後に(奴隷の)忘恩行為に関して認められ、その後さらに原因も対象も徐々に拡大していったという考えの方に分があるという結論に至った。
研究期間全体を通じては、主に相続における贈与(生前贈与、死因贈与)についての考察に取り組んだ。考察の中心となったのは古代ローマにおける贈与であったが、特に死因贈与についてはその概念自体が不確定であるということを示すため、先行研究が多く存在する時代及び国の死因贈与について、不十分ながらも検討を試みた。日本においては債権法改正との関連でも死因贈与に関して議論があり、加えて近年成立した相続土地国庫帰属法との関係では死因贈与に関しての議論中に、死因贈与とはどういうものかということについてやはり不十分な認識のまま議論が進められているとわかる箇所があり、現在の法律実務上も影響のある問題であるということも確認した。贈与の撤回については本年度の研究とつながりがある、「死因贈与の撤回」という課題を残している。
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