研究課題/領域番号 |
20K13325
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分05020:公法学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 (2021-2022) 帝京大学 (2020) |
研究代表者 |
河嶋 春菜 慶應義塾大学, グローバルリサーチインスティテュート(三田), 特任准教授 (10761645)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 医師 / プロフェッション / 公衆衛生 / COVID-19 / 公衆衛生法制 / 医プロフェッション / 憲法 / 医事法 / 職業選択の自由 / 生存権 / 新型コロナウイルス感染症 / 職業倫理 / 医療プロフェッション |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、フランス法との比較において、医師の公衆衛生の実施における機能を具体的に 理解し、医師職の憲法上の位置づけを明らかにすることによって、医師の公共的な職責と、 医師が職業選択および営業においてこうむる特別な規制と特権との連関を構造的に理解する ことを目的とする。すなわち、職業の公共性に考慮した職業選択の自由論の可能性を、公衆 衛生の実施を担う職責を負った医師職について、具体的かつ理論的に探究するものである。
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研究成果の概要 |
本研究課題は、医師が一方で業における特権を享受し、他方で特別な規制に服するのは、医師が公衆衛生の向上増進を担うフロントラインのアクターとしての職責を負うからであると考え、フランス法との比較を通じて憲法上の医師の位置づけを明らかにしようとするものであった。折しも本研究期間中の2020年に発生したCOVID-19は、これまで以上に、医師を感染症対策に巻き込むものであったが、衛生上の危機法制の創設・修正と運用を通じて、感染症対策を的確に実施し人々を科学的に正しい行動変容へと導くべき医師の役割が強調されてきたことが分かった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究課題には2つの意義がある。まず学術上の意義として、公衆衛生の向上増進(憲法25条2項)における医師の地位は、表現の自由の保障のためのジャーナリストの地位、裁判を受ける権利の保障のための弁護士の地位などとは異なり、憲法学において主要な研究対象とはされてこなかったところ、医師の職責を憲法学の観点から整理することは、憲法上のプロフェッション論の進化に寄与しうる。次に実務に対する意義として、任意加入の職業団体による統制が限定的である日本においては、憲法を基盤として医師の職責を明らかにすることで、全医師に共通する職業倫理の形成の議論に寄与し、保健医療実務の適正化にもつなげることができると考えた。
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