研究課題/領域番号 |
20K13333
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分05030:国際法学関連
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研究機関 | 拓殖大学 |
研究代表者 |
土屋 志穂 拓殖大学, 政経学部, 准教授 (00551615)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 個人の国際法上の権利 / 外交的保護 / 国家責任法 / 個人損害 / 国際人権法 / 国際投資法 / 個人の権利 / 領事関係条約 / 国際法上の個人の権利 / 国際司法裁判所と人権 / 国際法 / 国際裁判 / 国家責任 |
研究開始時の研究の概要 |
現代の国際裁判では国家間の裁判にもかかわらず、国際法において権利の客体的な存在であった個人の権利が紛争の主題となる事例が増加している。本研究では、個人の権利侵害が国際裁判でどのように請求されているか、これに国際裁判ではどのような理論的結論が与えられているかを分析することで、国際司法裁判所並びに国際投資保護の分野や戦後補償など個人の権利が条約上明示的に規定されている分野などその他の国家間訴訟において、個人の国際法上の権利侵害が紛争主題とされることは国家間の主権の配分や調整を目的とする国際法においてどのような意味を有するのかを見出すことを目的とする。
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研究実績の概要 |
個人の国際法上の権利に関連する国際司法裁判所のケースとして、一連の領事関係条約に関する判決があり(LaGrand事件、Avena事件、Diallo事件、Jadhav事件)、他方で人種差別撤廃条約等の人権条約違反に関する紛争(Diallo事件を含む)がある。これらの分析により、個人の権利と認められた権利と、「人権」としての性格を認められている権利との間で、その適用において人権の特殊性が国際司法裁判所への訴訟において何らかの影響を与えているかという点を明らかにしてきた。 2023年度には「領事関係条約36条の個人の権利の性質に関する研究―ジャダヴ事件の評価を中心に―」『拓殖大学論集 政治・経済・法律研究』26巻2号において、ICJにおいて取り上げられている個人の国際法上の権利を人権であるとまでいうことができるのかを論じた。この問いに肯定の評価を与える場合、ICJが強調する国内での再審の「実効性」に表れるが、接受国の領域主権と人権としての派遣国国民の権利のバランスを考慮しつつ、接受国が領事援助に関する助言を与えることが領事関係条約上の義務の切り下げの制限や接受国の義務に対する裁量性の制限に働きうるのではないかと考えられる。 他方で、人権が外交的保護権に対する影響を与える場合として、拷問禁止条約など当事国間対世的義務を有する条約上の義務違反について、「被害国以外の国」としての責任追及と同時に、「被害国」として責任を追及できる可能性があるのかの検討を行った。そこでは、対世的義務違反の場合には、被害者が集団で扱われる一方で、外交的保護権の行使の根拠になる場合、個人の人権侵害の救済が紛争主題になる場合は、名前が特定された個人の外交的保護のレンズを通して扱われるということを分析している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度に提出を予定していた原稿を2023年度に見送ることになったため、1年の遅延が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
人権の国際的保障と国際法上認められた個人の権利との関係、国家責任における個人損害の役割に関する分析を継続して進める。 加えて、個人が自ら救済を得る手段を有している国際制度において、国家間請求を行うことの効果を、国際人権法および国際投資法の分野で生じている事象を分析することで検討する。
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