研究課題/領域番号 |
20K13339
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分05040:社会法学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022) 大阪市立大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
川村 行論 大阪公立大学, 大学院法学研究科, 准教授 (10756323)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 企業年金 / 受託者責任 / 社会保障法 |
研究開始時の研究の概要 |
公的年金を補完する役割が期待されている企業年金制度において、年金の原資となる資産の管理運用に関与する者は「受託者責任」と呼ばれる厳格な規律を受けている。しかし、間接的に関与する者(間接関与者)への規律が不十分となっており、年金資産の適切な管理運用を図ることに問題がある。これについて社会保障法学では十分に検討されていない。 本研究は、イギリス法との比較法により、間接関与者の義務と責任について検討し、適切な責任体制が整えられた企業年金法制につながる理論の構築を図る。本研究により、従来の社会保障法学の不十分性が補われ、企業年金法制における間接関与者への規律に関する法理論が明らかになるであろう。
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研究成果の概要 |
日本において信託銀行や保険会社は受認者として資産管理運用を担い、信託銀行は管理運用業務を別の金融機関に委託する場合があるが、委託された金融機関には受託者責任が課されるかどうかは明らかではない。本研究は、日本とイギリスを比較して、委託を受けた者が受託者責任を負うのかどうかを明らかにすることが目的である。 本研究の結果、イギリスではケイ報告書により広く受託者責任を課すよう提言されたものの、同報告を受けて開催された法律委員会は信託スキームと契約スキーム(保険会社を含む)の違いを理由として同提言を拒否した。このようなイギリスの姿勢は受認者を根拠として受託者責任を課そうとする日本とは異なる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
日本では受認者概念を根拠として年金資産の管理運用に関与する金融機関等に対して受託者責任を課しているが、運用に間接的に関与する者について当該責任が課されるのかどうか明らかではない。他方、イギリスでは受認者概念が存在するものの、それを論拠として広く受託者責任を課そうとはしない。判例法理において受認者概念が必ずしも明らかではないことや信託と契約との違いを考慮した結果である。 本研究により、受認者概念の法学的理解や契約との機能的相違を分析して規制の可否を決するイギリスの状況を明らかにできたことは、日本の年金法制における受託者責任規制のあり方について理論的分析の視点を提供しうる意義があるといえる。
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