研究課題/領域番号 |
20K13357
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分05050:刑事法学関連
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研究機関 | 島根大学 (2021-2022) 早稲田大学 (2020) |
研究代表者 |
小池 直希 島根大学, 学術研究院人文社会科学系, 講師 (70844067)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 刑法 / 責任 / 故意 / 未遂犯 / 故意の提訴機能 / 故意論 / 錯誤論 / 規範的責任論 / 心理的責任論 / 責任主義 |
研究開始時の研究の概要 |
近時、日本では、刑法における責任概念について、他行為可能性を疑問視し、伝統的責任概念である規範的責任論を批判的に検討する、新たな潮流がみられる。本研究は、この新たな潮流に対して応答を投げかける必要があるとの問題意識のもと、責任主義を堅持する立場から、規範的責任論を維持しつつ、故意、責任能力、量刑といった、責任論にかかわる様々な領域にとって共通の基盤をなす、刑法における責任概念の基礎理論の再構築を図るものである。
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研究成果の概要 |
本研究では、いわゆる「故意の提訴機能」を手がかりにして、刑事責任論における規範的責任論の現代的意義について分析を加えた。その結果、責任の積極的側面では心理的責任論が、消極的側面では規範的責任論がそれぞれ妥当するという結論に至った。 また、本研究の構想する刑事責任論体系の実践的意義を明らかにするため、未遂犯の故意および公務執行妨害罪における職務の適法性の錯誤についても検討を行った。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
刑法上の責任は、従来通説のように規範的責任論から一元的に導かれるべきではなく、むしろ故意・過失を考える際には「法益侵害的心情」という心理的責任に着目すべきである。この心理的責任は、行為者の危険性の徴憑としてではなく、行為時における意思責任として把握される。 他方、規範的責任論は、「反対動機形成可能性がない場合には責任を問うことができない」という消極的側面においてはなお意義を見出すべきである。 このような刑事責任論の体系構想は、個別の論点においても有益な解釈論的指針となりうる。
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