研究課題/領域番号 |
20K13358
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分05050:刑事法学関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
市川 啓 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 研究員 (80822767)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 間接正犯 / 組織的権力機構を利用した間接正犯 / 刑法 / 正犯の背後の正犯 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、日本の刑事実務における犯罪関与者の取扱いを問題視し、その運用を批判的に省察するため、ドイツ・国際刑事裁判所における犯罪関与者の取扱いを調査・検討する。とくに、戦後ドイツでは、「壁の射手」事件を契機として、組織的犯罪の黒幕を捕捉する際に「組織的権力機構を利用した間接正犯」概念を援用したこと、この概念が国際刑事裁判所の規程・裁判実務でも引き合いに出されたことに着目する。また、そこでは、(概念の淵源から乖離して)介在者が自己答責的であっても間接正犯が認められている点に着目し、著作権・特許権侵害に係る国際紛争への「間接正犯」概念の応用可能性についても、その理論構築を探求する。
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研究実績の概要 |
当初、本研究の課題は、犯罪関与者にかかる日本の実務的運用の限界を問題視し、組織犯罪の黒幕を「組織的権力機構を利用した間接正犯」と捉えるドイツ・国際刑事裁判所の議論を参照し、日本の正犯・共犯論のガラパゴス化を防ぎ、著作権・特許権侵害に係る国際紛争においても劣位とならない理論構築への一歩を目指そうとするものであった。ただ、研究代表者において立命館大学専門研究員の任期満了に伴い、研究を続行できなくなったことから、課題の遂行は途中で終わらざるを得なかった。 しかし、それでも本研究のキー概念となっている間接正犯概念に関する研究実績を単著において公表することができた点は大きい。すなわち、間接正犯という概念の淵源にかかる理論史を紐解き、20世紀初頭の2つの正犯概念の対立に関する本来的意義を明らかにした。そして、各則構成要件の多様性を前提に、正犯基準である形式的客観説を正犯基準の出発点として捉え直したうえで、背後者を(間接)正犯たらしめる根拠づけを巡る従前の議論を批判的に検討し、客観的帰属をベースにした間接正犯論の意義を示した。 このような研究成果を踏まえるならば、歴史的淵源からして「組織的権力機構を利用した間接正犯」を間接正犯と認めてよいのか疑問となるだけでなく、現代的な視点からしても、問題となる社会的文脈において直接行為者が当該犯罪に対して管轄を持たないことが間接正犯成立の必要条件と考えらえるため、同様の疑問が生じる。 もっとも、「組織的権力機構を利用した間接正犯」も著作権・特許権侵害の事例で登場する「間接正犯」も、直接行為者と背後者との権力・権限関係(管轄分配の程度)、背後者の社会的地位などを考慮し、どちらかと言えば背後者に(正犯としての)一次的な責任を負わすべきとする理論であろうが、それはもはや間接正犯というよりも、背後者を正犯とするための新たな理論として位置づけるべきであろう。
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