研究課題/領域番号 |
20K13359
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分05050:刑事法学関連
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研究機関 | 早稲田大学 (2023) 龍谷大学 (2020-2022) |
研究代表者 |
福島 由衣 早稲田大学, 人間科学学術院, 助教 (10836498)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 目撃者識別 / ラインナップ / 誘導的な聴取者 / 聴取 / 確信度 / 誘導的な面接者 |
研究開始時の研究の概要 |
確信度の高い証人の証言は,正確性に関わらず裁判官・裁判員などの第三者に信用されやすい。これまでの心理学研究では,目撃した人物を写真から識別した際,面接者がその識別の正確性を暗に肯定するような発言(例「いいでしょう,犯人を選びましたね」)をすると,目撃者記憶に変容が起き,これに付随する確信度が上昇することが示されている。この現象を識別後のフィードバック効果(PIFE)という。しかし,変化した確信の程度が目撃者のその後の具体的な「行動」に影響を与えるかどうかについてはほとんど検討されていない。本研究では,PIFEが目撃者の具体的な「行動」に影響するかどうか検討する。
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研究成果の概要 |
ラインナップから犯人を正確に選択したことを示唆するフィードバックを目撃者に与えると、その選択の正確性とは無関係に自信を高め、目撃経験に関する記憶が歪むことが示されている。この現象は識別後のフィードバック効果(以下、PIF効果)という。しかし、PIFがその後の目撃者の行動をどの程度変化させるのかはわかっていない。本研究では4つの実験を通して検討を行った。その結果、目撃記憶に対する基本的なPIF効果は再現されたが、確証的なフィードバックが、特定の行動を促すという一貫した証拠は見つからなかった。確証的なフィードバックを与えられた参加者の方が証言の記述量が多いという予備的証拠は見つかった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、PIF効果が記憶に及ぼす影響だけではなく、具体的な行動に影響するかどうかを検討したものであり、この効果に関する研究領域の裾野を広げたという学術的意義がある。また、現行の刑事司法手続きに対して、適正な目撃者識別手続きの必要性を示すものでもある。本研究では、目撃した出来事に関する記憶を歪めるPIF効果の頑健性が改めて確認された。このことは、識別手続きを実施する聴取者が、目撃者にフィードバックを与えることがないよう、対策を講じる必要性を示唆している。具体的には、被疑者や当該事件の捜査状況などを知らない第三者が手続きを行う二重盲検法が有効と言える。
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