研究課題/領域番号 |
20K13364
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分05060:民事法学関連
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研究機関 | 青山学院大学 (2022) 富山大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
増田 友樹 青山学院大学, 法学部, 准教授 (70805720)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 事業再生 / 取締役の対第三者責任 / 法人格 / 倒産会社 / 株主の利益 / 財務リストラクチャリング / 倒産局面におけるコーポレート・ガバナンス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、倒産局面にある会社が事業再生を行う場面で、既存株主の地位や利益をどのように取り扱うべきかを明らかにするものである。従来の議論において、会社の倒産局面では株主の利益よりも債権者の利益に注目が集まっており、株主の利益に着目した検討は行われてこなかった。 本研究によって、倒産会社の株主の利益の保護が図られるだけでなく、事業再生において取締役が従うべき具体的なルールを提示することで、迅速な事業再生の実施や事後的な紛争の防止といった効果を期待できる。
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研究実績の概要 |
本年度においては、取締役の対第三者責任について、会社が倒産局面にある場面とそれ以外の場面に分けて検討した。まず、会社が倒産局面にある場面において、取締役に対第三者責任を負わせることが以前よりも重要なものとして捉えられていないことを指摘した。債権者などの第三者は自衛できることに加えて、取締役の経営判断の尊重も考慮されるようになってきたからである。もっとも、取締役の対第三者責任規定を利用しないことには、一定の問題があることも認識されるべきである。 次に、それ以外の場面における取締役の対第三者責任について、エンフォースメントの強化という観点から説明できることを指摘した。この場合、裁判所によって過度に取締役の対第三者責任が認められてしまうおそれがあるものの、そのことは取締役の監視義務の内容の問題として論じられるべきである。 また、研究成果の公表にまでは至らなかったものの、債権者などの第三者の自衛について実証研究に取り組んだ。具体的には、会社法人格の財産分離が債権者のモニタリングコストを減少させているのかということについて、上場企業のデータを利用して検討した。 実証分析によれば、会社法人格の財産分離が債権者のモニタリングコストを減少させているという結果は確認されなかった。もっとも、子会社の借入比率が多い場合や子会社で複数の事業が営まれている場合には、企業グループの借入金利も増加する傾向がみられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
以下の2点から、本研究課題の進捗状況はやや遅れている。 第1に、2022年4月より勤務先が変わったことに伴って様々な環境に対応する必要があったことから、本研究課題に費やす時間が当初想定よりも減少した。 第2に、本研究課題に関連するデータの再収集等を行ったことから、当初想定していた研究成果の公表が遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、上述の実証分析を完成させて、その成果を論文として公表する。
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