研究課題/領域番号 |
20K13369
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分05060:民事法学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
津野田 一馬 大阪大学, 大学院法学研究科, 准教授 (80756627)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | コーポレート・ガバナンス / 役員報酬 / 役員人事 / 株主総会 / 取締役会 / 企業統治 / 機関投資家 / 会社法 / 金融商品取引法 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,機関投資家の属性によって,その性質や有する情報,インセンティブはさまざまであるという認識を前提として,各属性の機関投資家が,日本の上場会社のコーポレート・ガバナンスにおいて,いかなる役割を果たしうるかを分析する。①2010年代のコーポレート・ガバナンス改革を分析し,②集合行為問題・短期主義などの機関投資家の行動を分析するための経済理論と,商法学における概念的・定性的な議論とを接合することによって,③日本法におけるコーポレート・ガバナンスを構成する個々の法制度に対する提言を行う。
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研究実績の概要 |
昨年度に引き続き,今年度も,株式保有構造とコーポレート・ガバナンスとの関係を中心に研究を進めた。上場会社の役員人事に関する一連の研究の成果として行った学会報告について,報告論文を学会誌に掲載した。同論文においては,経営者の選解任の問題を中心に扱い,アメリカおよびドイツと日本の状況を比較した。アメリカ・ドイツの法制度だけでなく,各社の開示書類や経済学分野の実証研究などを参照し,経営者選解任の実態を把握することに努めた。 同論文では,①ひとくちに指名といっても,取締役・監査役候補者の指名と経営者の選解任は別の問題であり,達成すべき価値や望ましい手続は異なること,具体的には,両手続を同一の主体が担当する合理性はないこと,②取締役・監査役候補者指名の場面では,取締役・監査役の独立性を確保するため,経営者の影響力を排除することが必要であること,③現経営者は後継者の育成・選抜に関して重大な権限と責任を有するため,後継経営者の育成・選抜の場面では現経営者が主体的に後継者育成・選抜を行うべきであること,同時に,社外取締役には,経営者が適切に後継者育成・選抜を構築・運用していることの監督が求められること,④経営者の適切な解任のためには取締役会の独立性を確保すべきこと,具体的には,社外取締役候補者の指名手続の改善やエグゼクティブ・セッションの活用によって取締役会の独立性の向上を図るべきこと,を論じた。 上記論文に加え,学生向け判例集の改訂も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の影響で,昨年度以前にすでに遅れが生じていた。今年度も,昨年度以前の遅れを取り返すには至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,日本の上場会社のコーポレート・ガバナンスに関する研究を続ける。 今年度から,上場会社における株式保有構造とコーポレート・ガバナンスの関係について,所得分配や金融構造といったマクロ的な観点を導入すべく予備的な調査を進めている。特に,年金などの社会保障制度がコーポレート・ガバナンスに与える影響を中心に,関係する経済学・社会保障論の分野の研究を調査しており,会社法学の観点から社会保障制度とコーポレート・ガバナンスとの関係についての論文を公表することを,今後の目標とする。
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