研究課題/領域番号 |
20K13393
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分06010:政治学関連
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
佐藤 健太郎 千葉大学, 大学院社会科学研究院, 准教授 (20580393)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | 政治教育 / 選挙粛正 / 立憲制 / 戦後政治史 / 教科書検定 / 戦後民主主義 / 五五年体制 / 教科書問題 / 鳩山一郎 / 政党・議会 / 日本政治史 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、教科書の編纂や検定とそれを規定した政治状況に注目し、1930年代から1950年代における学校教育での政治教育の展開を、日本政治外交史的手法により実証的に解明することを目的とする。 主として、①この間の政治教育をめぐる過程を、政治教育の発展・変質・再興の過程として長期的視野から分析すること ② 検定教科書を、知識人の言論と、国家の規制との対立が集約されるものと位置づけ、教科書の内容や検定の状況を分析すること、等を通して、55年体制下における「教育と政治」の淵源を明らかにし、戦後民主主義の基盤を問いたい。
|
研究実績の概要 |
本研究は、1930年代から1950年代における政治教育の展開を、日本政治外交史的手法により実証的に解明することを目的とする。 主な研究対象を戦前の政治教育と戦後の社会科教育・教科書問題に設定し、特に1930年代の選挙粛正運動と、1950年代の教科書問題を中心に研究を継続してきた。 3年目にあたる本年度は、論文集2冊を刊行したことが大きな成果である。 このうち、佐藤健太郎・荻山正浩(編著)『公正の遍歴』(吉田書店、2022年8月)では、編者の立場から刊行に力を注ぎ、序論のほか、第9章「選挙粛正運動の本義:知識階級と議会制」を執筆した。選挙粛正運動の運動当事者や社会の反応に注目し、国体明徴運動への対抗・議会制擁護という視点から当該運動を再考した論文である。刊行後、多くの研究者から直接的に好意的かつ建設的な意見を頂戴することができた。本論文は、自身の選挙粛正運動研究の「序論」にあたるものであり、論文発表後も、地方新聞や地域の史料を調査しながら、選挙粛正運動研究を継続しているところである。 また、 小宮京・伏見岳人・五百旗頭薫『自民党政権の内政と外交 : 五五年体制論を越えて』(ミネルヴァ書房、2023年3月) では、第3章「五五年体制成立期の教科書問題:『うれうべき教科書の問題』と「共通の広場」」を執筆した。本論文は、1955年前後の教科書問題を実証的に検証しつつ、時代のキーワードとしての「共通の広場」に注目した点に特徴がある。刊行されたばかりであるが、すでに研究者から直接的に意見を頂戴することができている。今後はさらに多くの意見が寄せられると想定されるため、それらを参考にしながら、1930年代と50年代を架橋する政治教育研究に取り組んでいきたい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度に限れば、おおむね順調に進展していたが、コロナ禍の影響によるこれまでの遅れを取り戻しきれなかった面があり、全体としてはやや遅れている。論文集を2冊刊行したことは大きな成果ではあったが、どちらも本来は2021年度に刊行する予定だったため、その点で遅れを取っているのは否めない。本研究の最終年度では、公表した論文の反応を踏まえた上で、自身の研究を発展させる予定であったが、論文集の刊行が遅れたため、これも遅れ気味である。そのため、研究期間を一年延長し、本課題をまとめながら、さらに発展させることとした。
|
今後の研究の推進方策 |
昨年度よりも史料調査が行いやすい状況になったため、感染対策に留意しながら、近隣図書館等での調査・遠方への出張による史料調査を進めたい。論文を書くための史料も集まりつつあるので、新しい論文に取り組み、学術雑誌に投稿したいと考えている。また、研究会等においては、本年度の研究成果を書評される機会もありそうなので、積極的に研究会に参加し、学術的な交流をもつことで、自身の研究にフィードバックしていきたい。
|