研究課題/領域番号 |
20K13395
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分06010:政治学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
馬路 智仁 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (80779257)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | グレーター・ブリテン / 殖民主義 / ブリティッシュ・コモンウェルス / 南太平洋 / 太平洋島嶼 / 人種 / コモンウェルス / ブレグジット / 移民・植民 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、近代イギリスの政治思想(19世紀前半から20世紀初頭)において半ば忘却されてきた、きわめて独特な知的系譜、すなわち殖民主義からグレーター・ブリテン構想、そしてブリティッシュ・コモンウェルス構想へ至る帝国的系譜を描き出そうとする点にある。その最大の目的は、ポスト・ブレグジット時代を睨む今日のイギリスにおける「コモンウェルスへの回帰」言説を歴史的文脈の中に位置づけ、相対化するパースペクティヴを提供することである。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、近代のイギリスにおいて、世界の大洋を跨いで広がるブリティッシュ・コモンウェルスという帝国共同体がどのように想像・構想されてきたかを、殖民主義(settler colonialism)論などの知見を踏まえて政治思想史学の観点から明らかにすることである。 この目的に照らして、2022年度は主として三つの作業を行った。(1)一つ目に、当該研究テーマをめぐる最新の研究文献の検討であり、この点ではH.G.ウェルズやW.T.ステッド、アンドリュー・カーネギーらの人種観をベースとしたグレーター・ブリテン、ブリティッシュ・コモンウェルス、アングロ・アメリカン共同体構想を探求したDuncan Bell, Dreamworlds of Race (Princeton UP, 2020)の国際的な書評フォーラムに貢献するという成果を得た。(2)二つ目に、昨年度に引き続き、殖民主義が展開された南太平洋地域(オーストラリアやニュージーランド)からの視角を検討し、特に著名な歴史家J.G.A.ポーコックが「新しいブリテン史」の枠組みの下で、本国ブリテンとの関係をいかに捉え直そうと試みたかを吟味した。(3)三つ目に、1960年代以降の太平洋・脱植民地期に、ブリテン帝国主義の深い影響下にあった中・南部太平洋の島嶼地域において、帝国的なブリティッシュネスがいかなる批判に晒されたかを研究した。(2)と(3)の成果の一部は、2022年5月の政治思想学会大会などで報告し、また、同学会機関誌『政治思想研究』に論文として寄稿するという成果を得た(2023年5月刊)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記「研究実績の概要」で記した三つの次元での研究が進展し、国内外の学会/カンフェレンスで報告を行い、英語ジャーナルにおける掲載と日本国内の重要な学会誌における論文掲載を得たため、概ね順調に進展していると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、2022年度の研究成果、特に上記「研究実績の概要」における(2)と(3)の成果を受けて、ブリティッシュ・コモンウェルスや帝国的ブリティッシュネスが南太平洋の入植者植民地や太平洋島嶼から、いかに批判的に捉え直されたかの検討を進めることとしたい。
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