研究課題/領域番号 |
20K13411
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分06010:政治学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
千野 貴裕 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 准教授 (00732637)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 政治思想史 / イタリア政治思想 / モスカ / 混合政体論 / イタリア政治思想史 / 議会制民主主義 / 議会主義 / 自由主義 / 政治学 / 議会 |
研究開始時の研究の概要 |
議会制民主主義の機能不全は今日喫緊の世界的問題である。しかし、議会制に対する批判 は今に始まったことではなく、20世紀前半にも盛んであった。本研究は、20世紀前半のイタリアの思想家ガエターノ・モスカが、一時は同時代の議会批判と歩調を合わせつつも、ファシズム台頭の時代に議会制の擁護へと転換した理由を検討する。モスカが議会主義の批判から擁護へと転換した理由は、「混合政体論」という観点であった。本研究がモスカの議会論を検討することは、現代の議会制批判がもつ議会観を刷新し、新たな議会の見方を提示することに貢献するだろう。
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研究成果の概要 |
現代において議会制民主主義の機能不全に対する批判が高まっている。だが、議会制に対する批判は今に始まったことではない。ファシズム台頭期のイタリアではこの批判は顕著にみられた。本研究は、20世紀前半のイタリアの思想家ガエターノ・モスカが、一時は同時代の議会批判と歩調を合わせつつも、ファシズム台頭の時代に議会制度を擁護するようになった理由を検討することを目的としてきた。本研究を通じて、モスカの態度変容は、ファシズムの台頭批判や自由主義の擁護だけでなく、古典的な統治のパラダイムである、混合政体論の現代的形態として議会をみなしたことが理由であるという新しい知見が得られた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
私たちは議会制民主主義を当然のものと考える一方で、選挙や議会が十分な役割を果たしていないとの批判は世界的に高まっている。例えば、いわゆるポピュリズムがこうした既存の制度が等閑視していた人びとの意見を集約したとの見解がある。ファシズム台頭期のイタリアでは、既得権益の道具などとして、議会主義は厳しい批判にさらされていた。この時期に、当時のイタリアを代表する思想家であるガエターノ・モスカは、従前からの議会批判を撤回し、むしろ議会主義を擁護するようになった。本研究はこの理由を検討し、その結果は上記した通りである。本研究は、現代においても厳しい批判にさらされる議会の役割と可能性を見出すことに寄与する。
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