研究課題/領域番号 |
20K13435
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分06020:国際関係論関連
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
冨永 靖敬 法政大学, 経済学部, 准教授 (40779188)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 国内武力紛争 / 和平プロセス / データセット構築 / 計量政治 / 政治体制 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,複数の反政府武装勢力が活動する国内武力紛争を対象に,政府による特定武装組織の和平プロセスからの排除の論理を明らかにすることを目的とする。和平プロセスにおけるアクターをめぐる問題では,反政府武装組織が主体的に離脱し,プロセス自体を破壊するスポイラーが問題とされてきたが,多くの事例において武装組織は参加を表明しているにもかかわらず,政府側から参加を排除される事例がみられる。本研究では,特定組織を和平プロセスから排除する国家の論理を国内政治要因や他国間関係を中心にそのメカニズムを特定し,既存の紛争データベースを用い,紛争当事者の包含排除に関するデータを構築の上,統計的に仮説を検証する。
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研究実績の概要 |
本研究は,複数の反政府勢力が活動する国内武力紛争を対象に,政府による特定武装組織の和平プロセスからの排除の論理を明らかにすることを目的とする。研究にあたっては,既存のデータに加え,公開情報から必要なデータを収集,コーディングすることを通して,仮説の統計的な検証を可能にする。昨年度実績報告書で記載した通り,本研究では,研究目的を「政府による特定の武装勢力に対するテロリスト指定」の論理とその影響に変更している(詳細は昨年度報告書参照)。
2022年度は「国家によるテロリスト指定に関するデータセット」についての論文がJournal of Peace Researchから出版されたのに加え,テロリスト指定の論理の解明を試みる研究を行った。当該研究においては,国家は自国に安全保障上の影響を及ぼす組織(国内で活動する組織が国内のターゲットを攻撃する,あるいは国外で活動する組織が国内のターゲットを攻撃するケース)をテロリスト指定する傾向があるだけでなく,必ずしも自国に対する安全保障上の脅威でなくとも同盟国に対する脅威になる場合には積極的にテロリスト指定という政策を採用することを明らかにした(一方で国家は「敵対国を攻撃する武装組織はテロ指定しない」という仮説は必ずしも有意ではなかった)。本研究の成果は既にJournal of Conflict Resolutionにてオンラインで先行公開されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度の実績報告にて記載した通り,本研究は,コロナ禍の影響により,研究の開始を一年遅らせる判断をした。したがって,実質的には2021年度が研究初年度と位置付けている。その中で軽微な研究の修正は行なったものの,データセットの構築に加え,テロリスト指定の論理の解明の研究について既に国際誌に掲載されており,順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は,これまでの研究を前提とした上で,国家によるテロ指定が武力紛争の推移にいかなる影響を及ぼすのかを明らかにする。特に,これまで国家は「テロリストとは交渉しない」という原則を掲げてきたが,その実態の解明に加え,昨年度構築したデータセットを用いて仮説の定量的な評価を行う予定である。
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