• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

冷戦期におけるスウェーデンの「表の中立、裏の同盟」:オーロフ・パルメに着目して

研究課題

研究課題/領域番号 20K13436
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分06020:国際関係論関連
研究機関立教大学

研究代表者

清水 謙  立教大学, 法学部, 特定課題研究員 (60846202)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
キーワード冷戦史 / スウェーデン政治外交史 / スウェーデンの西側軍事協力 / NATO / 政軍関係 / オーロフ・パルメ / COVID-19 / 第一次パルメ政権の政権構造 / 欧州統合 / 中立
研究開始時の研究の概要

本研究は「中立」を標榜しながら、実際には冷戦期に秘密裏に西側との軍事協力関係を築いていたスウェーデンが、なぜ西側との軍事協力を構築するに至ったのか、そしてそれがどのように形成されていったのかを明らかにする。とりわけその調整役として窓口になっていたと目されるオーロフ・パルメの役割を、関係各国の文書館に所蔵されている一次史料を活用しながらより明確化することで、新たなスウェーデン政治外交史を描き出して冷戦史研究に貢献する。

研究実績の概要

本年度は昨年に引き続き、スウェーデンのNATO加盟に向けた外交交渉などの動向に着目しながら研究を行った。同時に、冷戦期におけるスウェーデンの西側軍事協力のスウェーデン国内の行政上の仕組みを明らかにした。
それらの成果としては「スウェーデンのCOVID-19対策の「独自路線」の構造について-集団免疫、行政の独立性、さらに西側軍事協力とNATO加盟申請」岩崎正洋編著『コロナ化した世界:COVID-19は政治を変えたのか』(勁草書房、2024年)にまとめた。事例はCOVID-19であるが、スウェーデンの「独自路線」は行政機関の独立性に由来することを明らかにしたことは、西側軍事協力を考える点で大きな手がかりとなる。スウェーデンでは軍も行政機関に分類されるため、「行政の独立性」によって、軍さえも政府と議会の制約を受けないこととなる。この「行政の独立性」はスウェーデン独特の仕組みであり、軍事戦略や作戦などの立案については軍の専権事項であるため、「裏の同盟」が可能であったという不可思議に思われるような要因を析出した。同研究をさらに進展させて日本大学法学部政経研究所にて、「スウェーデンのCOVID-19対策-独自路線、集団免疫、そしてNATO加盟申請までに至る隠れた論理」として研究発表を行った。
そのほか『立教アメリカン・スタディーズ』(45号)にて、「裏の同盟」の路線を継承しながら「正式加盟以外であれば何でも行う」とする、いわゆる「フルトクヴィスト・ドクトリン」について触れた上で、1990年のドイツ統一に対するスウェーデンの対応と東ドイツとの「紐帯」の解消などを論じた。
「スウェーデン・モデル」とも呼ぶべき独特な統治形態が軍を中心とした西側軍事協力を可能にさせた構造を明らかにしたことは、今後のこの分野における研究に広がりをもたらす大きな前進的成果と確信する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は前年度に行ったスウェーデンの国立公文書館等で収集した外交文書や、文献資料などを基に研究を進めた。
研究実績の概要に記載した通り、本年度は西側軍事協力に至る行政上のメカニズムの解明に注力した。これによって「表の中立、裏の同盟」が時代の趨勢によるだけではなく、西側軍事協力を可能にした独特の行政構造の存在を析出したことから、おおむね順調に研究実施計画が進捗していると考える。

今後の研究の推進方策

引き続き史料収集と二次文献の収集を行い、スウェーデンと西側との軍事協力関係のメカニズムを精緻化していく。そして、その中でのオーロフ・パルメの果たした役割をさらに具体的に明らかにしていく。

報告書

(4件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 2020 実施状況報告書
  • 研究成果

    (23件)

すべて 2024 2023 2022 2021 2020

すべて 雑誌論文 (6件) (うちオープンアクセス 2件、 査読あり 1件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 1件、 招待講演 11件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 移民のヨーロッパ史:国境、第一次世界大戦、そして「外国人過多」からの考察2024

    • 著者名/発表者名
      清水謙
    • 雑誌名

      ヨーロッパ研究

      巻: 23 ページ: 84-86

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 書評:吉留公太『ドイツ統一とアメリカ外交』:北欧政治外交史の視点からの考察2023

    • 著者名/発表者名
      清水謙
    • 雑誌名

      立教アメリカン・スタディーズ

      巻: 45 ページ: 109-119

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 「表の中立と裏の同盟」-冷戦期における西側軍事協力からロシアによるウクライナ侵攻とスウェーデンのNATO加盟申請まで-2023

    • 著者名/発表者名
      清水謙
    • 雑誌名

      Human Security(『ヒューマン・セキュリティー』)

      巻: 13 ページ: 73-90

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 新型コロナと政治の転換-世界の再編か現状の強化か2021

    • 著者名/発表者名
      清水謙
    • 雑誌名

      法学周辺

      巻: 52号 ページ: 48-56

    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 変わりゆく世界秩序のメルクマール:試練の中のスウェーデン2020

    • 著者名/発表者名
      清水謙
    • 雑誌名

      アステイオン

      巻: VOL.92 ページ: 74-91

    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [雑誌論文] スウェーデンの対コロナ独自戦略2020

    • 著者名/発表者名
      清水謙
    • 雑誌名

      外交

      巻: VOL.62 ページ: 70-73

    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [学会発表] スウェーデンのCOVID-19対策-独自路線、集団免疫、そしてNATO加盟申請までに至る隠れた論理2024

    • 著者名/発表者名
      清水謙
    • 学会等名
      日本大学法学部政経研究所共同研究研究会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 冷戦期におけるスウェーデンと西側との軍事協力関係の政治外交史-「表の中立と裏の同盟」-2023

    • 著者名/発表者名
      清水謙
    • 学会等名
      世界政治研究会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 冷戦期からウクライナ侵攻までのスウェーデンの政治・外交・社会2023

    • 著者名/発表者名
      清水謙
    • 学会等名
      鹿島平和研究所
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 表の中立、裏の同盟-冷戦期におけるスウェーデンの西側軍事協力からNATO加盟申請まで-2023

    • 著者名/発表者名
      清水謙
    • 学会等名
      東海大学平和戦略国際研究所
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 表の中立、裏の同盟-冷戦期におけるスウェーデンの西側軍事協力からウクライナ侵攻とNATO加盟申請までを考える-2023

    • 著者名/発表者名
      清水謙
    • 学会等名
      日本大学法学部政経研究所
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 「表の中立、裏の同盟」-冷戦からウクライナ侵攻までのスウェーデンの外交および安全保障を考える-2022

    • 著者名/発表者名
      清水謙
    • 学会等名
      スウェーデン社会研究所
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 表の中立、裏の同盟:冷戦期の西側軍事協力関係からウクライナ侵攻によるNATO加盟申請への動きまで2022

    • 著者名/発表者名
      清水謙
    • 学会等名
      バルト=スカンディナヴィア研究会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 表の中立、裏の同盟:西側軍事協力からNATO加盟申請まで2022

    • 著者名/発表者名
      清水謙
    • 学会等名
      大阪朝日カルチャーセンター講演会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 表の中立、裏の同盟:ス ウェーデンのNATO加入と今後の世界展望2022

    • 著者名/発表者名
      清水謙
    • 学会等名
      新経営研究会/Innovation Forum
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 表の中立、裏の同盟-冷戦期におけるスウェーデンの西側軍事協力からNATO加盟申請まで2022

    • 著者名/発表者名
      清水謙
    • 学会等名
      東京外国語大学国際関係研究所
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] “Swedish Security Strategy during the Cold War and Swedish NATO Membership -The Soviet Threat, Cooperation with Western Countries and the Road to NATO-”2022

    • 著者名/発表者名
      Ken Shimizu
    • 学会等名
      日本スウェーデン協会および東京大学中東地域研究センター
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 冷戦期におけるスウェーデンの西側軍事協力からウクライナ侵攻とNATO加盟申請まで2022

    • 著者名/発表者名
      清水謙
    • 学会等名
      駒場スピーカーシリーズ『ウクライナ戦争の意味』(東京大学)
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 表の中立、裏の同盟-冷戦期におけるスウェーデンの西側軍事協力からNATO加盟申請まで2022

    • 著者名/発表者名
      清水謙
    • 学会等名
      同志社大学アメリカ研究所第6部門研究公開研究会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 暗殺の瞬間―スウェーデンの対米関係とオーロフ・パルメの時代2021

    • 著者名/発表者名
      清水謙
    • 学会等名
      バルト=スカンディナヴィア研究会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] スウェーデンにおける「中立」と欧州統合-第一次パルメ政権期の西側軍事協力とEC加盟論2020

    • 著者名/発表者名
      清水謙
    • 学会等名
      日本国際政治学会
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [図書] コロナ化した世界:COVID-19は政治を変えたのか(第9章「スウェーデンのCOVID-19対策の「独自路線」の構造について-集団免疫、行政の独立性、さらに西側軍事協力とNATO加盟申請」161-190ページを担当)2024

    • 著者名/発表者名
      岩崎正洋(編著)・清水謙
    • 総ページ数
      256
    • 出版者
      勁草書房
    • ISBN
      9784326303403
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] 『NATO(北大西洋条約機構)を知るための71章』(第39章「スウェーデン-冷戦期における西側との軍事協力から正式加盟へ-」198-202ページを担当)2023

    • 著者名/発表者名
      広瀬佳一(編著)・清水謙ほか
    • 総ページ数
      388
    • 出版者
      明石書店
    • ISBN
      9784750355382
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2020-04-28   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi