研究課題/領域番号 |
20K13456
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07010:理論経済学関連
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研究機関 | 明治学院大学 |
研究代表者 |
岡本 実哲 明治学院大学, 経済学部, 准教授 (70826627)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | メカニズムデザイン / マーケットデザイン / ゲーム理論 / オークション / 投票 / 私的情報保護 / 展開型ゲーム / マッチング |
研究開始時の研究の概要 |
IT技術の革新とインターネットの普及により、私たちがどのような消費行動をとっているのか、そしてどのような好みを持っているのか、購買行動や選好などの私的情報がデータとして容易に集められる時代になった。GAFAをはじめとする巨大IT企業によるこうしたデータの収集が世界中で問題視されており、我が国においても、政府が「デジタル・プラットフォーマー取引透明化法」の制定に向けて検討会を開いている。各経済問題において私的情報をいかに保護するかは重要な課題である。本研究では、メカニズムデザインの知見を利用して、私的情報を保護しつつ、望ましい資源配分を達成するための制度を設計する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的はメカニズムデザインや暗号理論の知見を利用して、「どのような好みを持っているのか」や「人々がどのようにモノを購入しているのかのか」やなどの私的情報を保護しつつ、望ましい資源配分を実現することである。2022年度までの研究では、主にオークションと投票制度に関して情報をうまく扱うことができるルールの設計をしてきた。 財の販売において、各個人が「その財を購入するのに最大でいくらまで支払ってもいいか」の評価値はとても重要な私的情報である。オークションでは、この評価値に関する情報が主催者のもとに集まり、場合によっては他の参加者のも開示される。例えば、封印型第二価格オークションでは、評価値を正直に申告することが支配戦略となっているため、基本的にはすべてのオークション参加者の評価値がそのまま主催者のもとに集まってしまう。主催者としては多くの情報が集まることは嬉しいが、私的情報保護の観点としては望ましくない。そこで、できるだけ主催者のもとに集まる情報を少なくできるオークションメカニズムについて分析した。結果、効率性を満たすメカニズムのなかで参加者が表明する情報がパーティションの考え方でもっとも少なくなるのはクロック型の競り下げ式オークションであることを示した。この研究については"Privacy Preservation and the Descending-Bid Dutch Auction"という論文にまとめているところである。 また投票制度に関する研究では、有権者が表明する情報が限られた状況での投票ルールについて分析した。具体的には、有権者が一部の候補者への評価を表明しない、もしくは表明できないときを考えている。この研究"Accoutable Voting"という論文にまとめ、現在は学術雑誌に投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
オークションや投票などの制度設計について理論的な研究はおおむね順調に進めることができている。しかし、当初予定していた設計した制度の実験研究についてはコロナ禍の影響もあり進めることができていない。また、研究発表の機会について、ほとんどがオンラインでの学会参加となっており、対面での参加ができていない。そのため、当初予定していた通りには研究に関しての意見交換ができていない。
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今後の研究の推進方策 |
2023年年度の研究では、これまでのオークションや投票で得られた研究成果を他の制度設計にも応用できるように一般化することを考えている。また、最終年度であるため、これまでの研究成果をまとめて学会発表や学術雑誌への投稿などをしていきたい。
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