研究課題/領域番号 |
20K13460
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07010:理論経済学関連
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研究機関 | 大阪経済大学 |
研究代表者 |
二本杉 剛 大阪経済大学, 経済学部, 教授 (10616791)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 罪回避行動 / 性差 / 文化差 / 神経基盤 / 行動実験 / fMRI / ナッジ / イギリス / 韓国 / 行動経済学 / 実験 |
研究開始時の研究の概要 |
援助,協力などの向社会行動は,社会において大規模かつ安定的に観察される人間の根源的な行動である.そのため,向社会行動のメカニズムを理解しようと,さまざまな角度から研究されてきた.特に,利他性や公平性などは学際的に研究されている.しかしこれまでに,相手の期待を裏切ることに対して罪悪を感じるため,自己犠牲を払ってでも他者の信頼に応える(罪回避行動)ような,相手との動的関係にある向社会行動のメカニズムに関しては十分にはわかっていない.そこで,本研究では,この罪回避行動に焦点を当てて,大規模データを取得し,社会的属性(所得,IQなど)や性差と罪回避行動との関係を明らかにする.
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研究成果の概要 |
向社会行動は人間社会にとって極めて重要である。人間は相手の期待を裏切ることに罪悪を感じるため向社会的に振舞うことが知られており、これは罪回避行動と呼ばれている。本研究では、罪回避行動の神経基盤、性差、文化差などを明らかにしてきた。①男性の方が女性よりも罪回避行動をする、②男女共通の罪回避行動の認知基盤は共感であるが、男性のみに規範(rule-based decision)がある、③罪回避行動の神経基盤として男性にのみ背外側前頭皮質と内側前頭皮質の結合(先行研究でセルフコントロールや社会規範とかかわるといわれている脳結合)が要求される、など様々なことが明らかになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
我々の研究結果から、向社会的行動における性差は、脳内の根底にある動機によって異質であり、社会規範への配慮が、男性の罪悪感嫌悪の強さに重要な役割を果たしていることを示唆している。また、罪悪感嫌悪における性差は日本、韓国、イギリスにおいて一致した結果を観察しているため普遍的な可能性があるが、その根底にある認知過程は文化の違いによって影響を受ける可能性があることが示唆されている。このことから、共同体としての社会や組織の在り方、インセンティブ設計といった経済学が検討すべき事項には、性差、文化差を十分に理解する必要があると言える。
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