研究課題/領域番号 |
20K13469
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07030:経済統計関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
柳 貴英 京都大学, 経済学研究科, 講師 (30754832)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 計量経済学 / ミクロ計量経済学 / 統計的因果推論 / パネルデータ / プログラム評価 |
研究開始時の研究の概要 |
経済学の実証研究では,原因変数の結果変数に対する因果的な影響を分析するための統計的因果推論アプローチの重要性が増している.しかし,原因変数が動学的な依存関係をもつような状況下においては,既存の研究結果では原因変数の結果変数に対する因果的な影響を正しく評価できない可能性がある.本研究ではこのような状況下における既存研究の問題点を明らかにするとともに,原因変数の結果変数に対する因果的な影響を評価するための統計的因果推論アプローチを開発する.
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研究実績の概要 |
本研究課題では,原因変数が内生的かつ動学的に決定される実証分析において,因果パラメータを識別・推定・推論するためのパネルデータ分析手法の開発に取り組んでいる.2022年度には,下記2点の研究計画に着手した. (1)二値以上の値を取りうる原因変数が,時点ごとに異なる値を取りうる,一般的な状況における,平均因果効果の識別・推定・推論手法の開発. (2)観測される共変量を与えたもとでの条件つき平均因果効果の識別・推定・推論手法の開発. 研究計画(1)の概要:パネルデータを用いた因果推論手法としては,差分の差分法とイベント・スタディ・デザイン分析がよく用いられているが,これら既存の分析手法では原因変数が取りうる値の数や時間を通じた変化の回数を制限したもとで,識別・推定・推論手法を考えることが一般的である.しかし,現実の実証分析においては,興味のある原因変数が,このような仮定を満たさないことも多い.本研究では,主体間での波及効果が存在するときの因果推論手法でよく用いられる effective treatment の概念を差分の差分法とイベント・スタディ・デザイン分析の設定に拡張することで,原因変数が取りうる値の数や時間を通じた変化の回数を制限しない因果推論手法の開発に成功した.得られた研究成果をまとめた論文を arXiv(arXiv:2212.13226) で公開している. 研究計画(2)の概要:パネルデータを用いた因果推論では,観測される共変量の値によって,平均因果効果の値がどの程度異なるかを調べたいことが多い.本研究では,観測される共変量を与えたもとでの条件つき平均因果効果の推定方法および一様信頼区間の構築方法を開発し,その理論的性質を証明した.2022年度末時点において,研究成果をまとめた論文を執筆している最中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画(1)の進捗状況:得られた研究成果をまとめた論文を arXiv で公開できており,現在までの進捗状況は順調に進展しているといえる. 研究計画(2)の進捗状況:2022年度内に論文を arXiv 等で公開することは叶わなかったものの,論文に掲載する研究成果はおおむね得られており,2022年度末時点において残っている作業は文章執筆だけである. 総合的には,現在までの進捗状況はおおむね順調に進展しているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
研究計画(1)の推進方策:2023年度に開催される研究会や学会等で研究成果を発表する.研究報告で集めたコメントをもとに論文を改訂し,2023年度前半には査読付き国際学術雑誌に投稿することを予定している. 研究計画(2)の推進方策:2022年度からの引き続きとして,論文執筆作業を行い,完成した論文を arXiv にて公開する.論文公開後には,研究会や学会等で発表することでコメントを集める.集めたコメントをもとに論文を改訂することができれば,2023年度内に査読付き国際学術雑誌に投稿することを計画している.
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