研究課題/領域番号 |
20K13471
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
早川 仁 北海道大学, 経済学研究院, 准教授 (70708578)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 貨幣的一般均衡 / 資産バブル / 格差 / 二重経済 / 貨幣の偏在 / 貨幣供給 / COVID19 / 金融政策 / 経済発展 / 経済的格差 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、資産バブルの生成メカニズムと帰結の解明を中核に据え、資産バブル生起・崩壊との関連において経済発展の動態および各局面における金融政策の役割について理論分析を行う。資産バブルの把握に関する既存の実物的一般均衡モデルにおける課題を踏まえ、本研究は貨幣的一般均衡のモデルを構築し分析する。とくに、日本の1960年代の高度成長から1980年後半の資産バブルの発生に至る期間の主たる観察事実と整合的なモデルを構築する。本研究の特色は、第一に貨幣的メカニズムにおいて資産バブルを論ずること、第二に経済発展の分脈において資産バブルの発生を解明すること、第三に貨幣的モデルにおいて金融政策を論じることである。
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研究実績の概要 |
本研究の中心的課題である、貨幣的一般均衡モデルの構築ならびにそこでの資産バブルの分析に関して、昨年度にまとめたワーキングペーパーの内容について国際学会3件において報告を行い、改訂を行った。当論文の一つの学術的貢献は、新たな貨幣モデルを導入して資産バブルまたその代替的動学の発生と特徴を明らかにすることであるが、改訂を通じてこれに加え経済発展・格差の観点における学術的貢献を明らかにした。
経済発展に関する理論研究においては、Debraj Ray教授の2010年の論文"Uneven Growth: A Framework for Research in Development Economics", (Journal of Economic Perspective)において“二重経済モデル”が一つの分析枠組みとして提案される。ただし、それは非貨幣的モデルとして構築される。申請者の論文は、彼の“二重経済モデル”において貨幣を明示的に導入した理論モデルと位置づけられる。彼の“二重経済モデル”の構想は、(農村部と都市部などと想定される)経済の二つの領域における労働移動の障害の存在が所得格差を生じるというものであり、とくに一方のブームが他方に波及しない“分離された(segregated)ブーム"となることを主張する。労働移動の障害としては教育投資の存在などが想定される。
申請者の論文においては、ある種の名目価格の硬直性の想定のもと、労働移動の障害を外生的に想定せずとも、二つの領域間での労働移動が必ずしも円滑に生じないことを示す。格差に関する帰結に関しては、一方の領域のブームが単に“隔離されたブーム”ではとどまらず、貨幣的外部性を通して他方の領域の所得を減少させる効果の存在を示したと位置づけられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の中心的課題について昨年度にまとめたワーキングペーパーをもとに国際学会3件の報告を行い、学術的貢献等について改訂を進めた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度においてまとめたワーキングペーパーについて学会で報告を行い、適宜改訂を進める。現状のワーキングペーパーでは貨幣供給を外生としていることに一つの課題がある。引き続き、銀行を通じた内生的貨幣供給の導入について検討を進める。
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