研究課題/領域番号 |
20K13485
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
佐藤 美里 岡山大学, 社会文化科学学域, 准教授 (70794585)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 効率的企業 / 参入阻止 / 多国籍企業 / 参入 / 撤退 / 排除 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,多国籍企業のような効率的な企業の活動とその影響に注目する.効率的な企業が,市場の新規開拓のために参入をし,受入国での既存企業との競争を促進する場合もあるが,十分な市場調査をして参入を決定したであろうにもかかわらず,時に早期撤退,または参入自体の断念を余儀なくされる場合がある.効率的企業の参入と撤退または参入断念の決断について,受入国の既存企業との関係に注目し,経済分析を行う.
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研究実績の概要 |
令和4年度は,多国籍企業やその他の効率的な生産工程を持つ企業が市場から排除される可能性について考察し,研究を進めた。 多国籍企業などの効率的な企業が新規に市場に参入してくる可能性がある場合,参入してくるであろう市場の既存企業は,何らかの対応策を検討する必要に迫られることがある。例えば,部品メーカーから部品を調達し,その部品を用いて最終財を作っているような最終財メーカーにとっては,もし,新規企業が最終財市場に参入してこようとしているのであれば,取引関係にある部品メーカーとの垂直的な関係を強化することが対応策の一例となる。このような垂直的関係の強化は,新規に参入しようとしてくる企業にとって,部品調達先を探すことをより困難にする可能性があるからである。 このような垂直的取引関係の強化を行う方法の一つとして,排他条件付取引契約というものがあり,本年度の研究では,排他条件付取引契約によって,効率的な企業の参入が排除される可能性について検討している。この排他条件付取引契約とは,例えば部品メーカーと最終財メーカーのような垂直的な企業関係において,取引相手に対して他社と取引しないことを条件に取引契約を結ぶ契約のことである。 本研究では,最終財市場に新規参入を予定している効率的な企業が存在するとし,最終財市場の既存企業が部品メーカーと排他条件付取引契約を締結することで効率的な企業でも排除される可能性について議論している。特に,効率的な生産工程を持つ最終財メーカーの場合,不良品率や欠陥品率も低く,部品需要が比較的小さくなる可能性に着目し,論文にまとめている。本年度は,論文として完成させるとともに,事例の再検討や理論分析の改訂を行い,研究の質の向上に努めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
論文の修正と改善に時間を要している。研究を論文の形にまとめ,修正を重ねて完成させていく段階になっている。現在取り組んでいる理論研究がどのような事例について議論しているものなのかをより明確にするため,適切な事例研究の再確認や,理論研究の解釈についての改善を含め,研究のとりまとめに努めており,そのために時間を必要とする結果となっている。
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今後の研究の推進方策 |
排他条件付取引契約に関わる理論研究については,より良い研究へと改善できるよう努め,論文の完成を目指す。また,多国籍企業の参入と国内既存メーカーの投入財調達方法に関わる研究についても改善に努める。基本的な分析については完了しているが,特に,撤退や参入阻止効果に関わる議論の改善と追加分析の必要性について検討しながら研究の遂行に努める。
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